62話



   僕は、リロードを終える。


 「いい加減、芝居はやめな糞野郎」

 

  佳代が何かよくわからない事を言う。


 英雄度の低い者というのは、よく分からない事を言う。


 英雄度の低い者程、今までの世界の事を覚えているらしい。


 「私に声を聴かせられないってかチキン野郎」


 「そのリスのマスク」


 「チキンに変えてきな」


 「それとも」


 「臆病な小動物齧歯類ってかぁ」


 「あいつの喉はもう治ってるのか」


 「始めから喋れなかったんじゃないのかも」


 「臆病者の芝居だよ」


 「ハハハ」


 「お望み通り」


 「聴かせてアゲマショー!」


 「へぇ」


 「今更驚きはしねぇよ糞野郎」


 「リンチして刺し殺す」


 「てめぇが泣いて詫びても止まらねぇリンチで死ぬまでいたぶり続けてやる」


 「覚悟しろなんていわねぇよ」

 

 「お前に覚悟はないからな」


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