63話


   「GAME」

 

 下女がゲームの宣言をする。

いや、今ゲームの途中なんだ。

そこから、もう1つ別のゲームをするというのか。


 「GAME」


 モンスターも下女の宣誓に応えるように宣言をする。


 僕は、ゲームの宣言をする気になれなかった。

醜いのは下女の方ではないのか。

このモンスターには尊ぶ何かがあるのではないのだろうか。


 一発殴らなければ気はすまない。

その言葉に嘘はない。

ただ、殺意はない。

敬意さえある。


 「いいよ」

 「分かってたことだから」

 「保次郎はこのゲームに参加しなくていいよ」


 「リンチしてコロコロするのではナイのですか」


 「シツレイですが」

 「リンチでなくさしで私とアナタではゲームになりません」


 「失礼じゃねぇさ」

 「お前は私よりずっと強い」

 「それは分かってる」

 「だからこそ蔑んでんのさ」

 「強い癖に」

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