59話 



   ー--保次郎視点ー--


  分析も、改善も、休息も、美しく遂行した。

 ただただ連打練習なんてしてる愚鈍共では、到達できない領域を見せてやる。



 「見せてやる」


 「俺の連打を」


 「美しい」


 「これが、連打だ」


 【!】

 【何故だ】

 【みかんの皮が】

 【剥けている】

 【通常なら、みかんが爆発するはず】


 「ハハハ美しくない者どもが」

 「僕の美技にフフフ」

 「ぷっーふっふ(笑)」


 「逃げんなクズ」

 「お前は保次郎に近づくな」

 「保次郎と喋るな」

 「消えてなくなれ」


 【君はこの剥けたみかんを見て】

 【なんとも思わないのか】


 「おいしそう」

 「食べていい?」


 【!】

 【おいしそうと言うまえに】

 【もう食べている】


 「みかんに罪はないわ」

 「みかんを恨んではいけない」

 「ママパパは私達愛する子供達に」

 「耐えられない誘惑を与えないとかなんとか」


 【君は、みかんの誘惑に耐えられるか】


 「無理に決まってんだろクズ」

 「アダムおじいちゃんとイヴおばあちゃんも耐えられなかったのに」

 「さっさと腹割いて死ね」

 

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