50話

  

   コントローラー入力が受け付けられるようになった。

  Xボタンを連打してみる。


 はぁ。まったく。

 連打なんて高貴な僕の担当ではない。

 品位がないじゃないか。

 連打なんてさ。

 華もない。

 

 コントローラーの入力受付が終わる。

 連打はここまでだろうか。


 「連打がだめだね」


 「それで、英雄度上位10位以内」


 佳代が汚らしく醜い口から汚い言葉を吐く。


 「僕は、連打で英雄度上位10以内の常設英雄なわけじゃない」


 【だめだな】

 【全然だめ】

 【基礎の基礎である連打がまったくなってない】


 モンスターも取っての付いた看板に文字を書いて伝えてくる。

 看板の残骸が増えていく。

 ひぃぃ。

 怖いよぉぉ。

 看板の残骸がどんどん増えていくぅぅ。

 ホワイトボードにしてください。

 資源の無駄遣いが怖い。


 【もう1回】


 くっ。

 この拷問は、無限に続くのか。


 慣れない連打だ。


 腕に疲れがないわけがない。


 疲労による拷問か。

 

 このまま延々と、連打させられる拷問か。


 これは辛い。


 モンスターとは、やはり平然といともたやすくえげつない拷問を容赦なく課す生き物だ。


 僕はモンスターを殺す。


 モンスターは全部殺す。



 


 

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