46話 一方通行はわんうぇい
「み ん」
「れ く」
モンスターは何か言ってるようだが、まだ言葉がうまく出せないようだ。
モンスターは、無慈悲にみかんを机に並べていく。
もう、いくら懇願してもだめだ。
怖いよ。もう、無理だよ。
たすけて。
僕は、今まで今もずっと糞メイドどもが煩わしかった。
嫌いだった。
むかついた。
蔑んでいた。
見下していた。
英雄であればある程、異世界転生する前の記憶を失う。
英雄度の近い英雄同志なら良い。
だが、僕のような英雄度10以内に入るような英雄と、市井の者では。
違うのだ。
まったく脳の記憶が。
魂の記憶が。
糞メイドどもは、まるで僕を何百何千。
700万年と、赤子の頃から育ててきたかのような。
お母様お姉様にでもなったかのようにふるまう。
古角家嫡男のこの僕に対してお母様お姉様にでもなったかのように思うなぞ。
それだけで大罪だ。
わきまえろ下賤の者どもが。
お前達の僕への思いなんてわんうぇいだ。
お前達下等な庶民が僕に対して持ってる思いも過去も経験も。
過去に託した未来も。
そんなもの僕は覚えていやしない。
それでも、今僕は叫んでいた。
「糞メイド共ぉぉ」
「助けに来る事を許可してやる」
「お前達のような市井の者共が、この古角保次郎様に助けを求めてもらったのだ」
「地にひれ伏しこうべを上げずたれてたれてまいれブスどもぉぉ!」
「てめぇらのその醜い顔は決して僕に見せるな」
「いや、体も醜いわお前ら」
「魂も知能もオーラも何もかも醜いから、全身どこ見ても醜く不愉快だな」
僕のような高貴な人間からしたら、あんな下賤の者ってブスに不細工に醜く見えてしまうんだよね。
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