45話 オレンジ色の悪魔


  何度異世界転生しても、これは記憶に魂に焼きつけられている。


 ダンボールだ。


 ただのダンボールじゃない。


 中には、どこの異世界だろうと絶対不変に存在しているあれが詰まっているんだ。


 ローマ皇帝だろうと、中国の皇帝だろうと。


 秦の始皇帝?征服王?シャルル大帝?


 そんな存在でも、こいつには勝てやしない。


 ダンボールの中から、オレンジ色の悪魔。悪魔の実。背徳の果実。


 そんな畏怖の名称で恐れられたみかんが机に置かれる。


 あ、あ、あ、。


 「やめろぉぉぉ!」


 僕は、コントローラー入力はまだ受け付けなくても、

なんとかこの声だけはだせた。


 「頼むよ」


 「やめてくれ」


 「アダムおじいちゃんとイブおばあちゃんはその果実で」


 「それで、僕達はこの地に存在している」


 「そのせいで、イエスが原罪の償いを受けたんだ」

 

 「お前のようなモンスターにだって、信仰心はあるだろ」


 「なぁ、わかるか。モンスター野郎」

  

 「お前のようなモンスター野郎だって、誰に作られた」


 「言ってみろよモンスター」


 「パパママだろ」


 「僕も同じだ」


 「はは、そう言うと僕らが兄弟みたいだな」


 「冗談でも奥歯が欠けるよ」


 「お前らみたいなモンスターと創造主が同じだなんて気持ちが悪い」


 「死ね!今すぐ自害しろ」


 「この世界は僕達人間が支配する」


 「それは僕達人間に与えられた義務であり特権だ」


 「パパママがそう言ってるんだ」


 「間違いはない」

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