第39話



  逆さまに持ち上げられたまま、停止され、いつの間にか周囲を囲んでいたモンスター達がリスのマスクをしたモンスターに声援を送る。

 このモンスター、遊んでるんじゃない。

 こうやって、恐怖心からこちらを確実に仕留めようとしてきている。

 考えろ。

 何故このモンスターは挨拶をしてきた。

 何故、不意打ちや奇襲ではなく、こちらが認識しやすいように真っすぐに走ってきた。

 プレイヤーである僕は、このダンジョンを進むしかないんだ。

 なら、罠にかけたり後ろから仕掛ける事も出来る。

 死角からの待ち伏せもできる。

 それじゃだめだ。

 それじゃ足りない。

 それじゃシステムに合理していない。

 人も武器男子も、恐怖心というのはプレッシャーというのは、

どこから来るかわからない時でも、後ろや死角から突然こられる事ではない。

 分かりやすくこれから貴方に向かって行きますよと向かってこられるのが一番怖いのだ。

 ゲームプレイヤーを恐怖させる事に伸び悩んだメリーさんが、のぼりつめた方法はなんだ。

 誰だって知っている。

 後ろからではない。

 突然ではない。

 ゲームプレイヤーを視界の良い場所に誘導し、自身が見えている状態で、なおかつ電話を掛けて

今からそっちに遊びにいくのと方法を変えたからだ。

 この状況でその話しの詳細をしている場合ではないので、詳細は置いておく。

 つまり僕はその正道の恐怖プレッシャー策略にかけられているんだ。

 このモンスター、策士だ。

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