27話

「俺を使えば、これから先どんな時でも1つは使える武器があるんだぜ」


 「お前、俺を使わないかい」


 売り込んでくる。


 この無名の打刀売り込んでくる。


 「使わないかいじゃなかった」


 「使ってくれ」


 「使ってください」


 「お願いします」


 「俺を連れていって下さい」


 「このままこのダンジョンに置き去りなんて嫌だぜ」


 「大体、このダンジョンはお前のために作られたダンジョンだ」


 「お前が俺を持っていかなきゃ俺はどうなる」


 「このまま永遠にこのダンジョンに放置され錆びていくんだ」


 「君、特徴あるじゃないか」


 「え。なんだよ。言ってくれよ」


 「1人でべらべらこっちの返事も待たずに売り込むわ喋るわ」


 「そんなの言われたの始めてな気がする」


 「今までのマイマスター達そんな事言ったかな」


 「今までのマイマスター達は奥ゆかしかったんだな」


 「俺、喋る量は普通だぜ」


 「あぁ。喋る量が普通だなとは言われた事なかったな」


 「なら、それは喋る量が多いって事だな」


 「良かったじゃないか特徴がわかって」


 「いや、俺そんなお喋りじゃないって」

 

 「喋る量は普通だって」


 「武器男子ってのは、自分を売り込まないといけないから」


 「誰でもこんなもんだよ」


 「何百年何千何万年と一振りで誰とも話せない事もあるし」


 「久しぶりに喋れるとなったらさ、やっぱばーっていっぱい喋っちゃうのよ」


 「そうか。君は今まで長い間一振りで、誰とも話してなかったのか」


 「10分前に、前のマイマスターとお別れしてきた気がする」


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