第28話
「10分前でそれか」
「うん。これは困るな」
「あまりにお喋りな打刀ってのもな」
「君、打刀ってのは暗闇閉所で1デシベルも音を立てずに待ち伏せしたりもしなきゃいけないんだぞ」
「それが君にできるのか」
「今まで、襖の中で喋るの我慢できずに喋って、マイマスターに怒られたり、マイマスターが殺されたりしてた気がする」
「そうか」
魔剣か妖刀じゃないんだろうか彼は。
「お前と同年代の打刀はできてることだし、短刀でも頑張って黙ってるんだぞ」
「なんで打刀のお前ができないんだ」
「そんな風に今までのマイマスター達に言われてきた気がする」
「そうか」
「そのそうかって、このままいっちゃう時の去り際のそうかな感じ?」
「君に名を与えよう無名の打刀」
「え、俺に名前つけてくれるの。じゃあさじゃあさ、寡黙でいつでも付き従うような感じの名前のさ」
「ここは黙って僕が名前を言うまで待ってようか打刀 双口」
間を置くと、そこに喋ってくるからな。
急ぎ早に言った。
本当はもう少し落ち着いてかっこいい感じに言ってみたかったんだが。
今までずっと、無名の刀にかっこいい名前をかっこよく名づけるシーンを思い描いてきたんだ。
それなのに、台無しだよ。
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