第19話 こいつが、僕の肩を噛みちぎろうとし、僕はこいつの鼻を殴る。 it is fair game!


  リバース攻撃が少年の腹に近づく。

 効くのか、この筋骨隆々の少年に。

 いや、筋肉量どころの問題ではない。

 こいつに効くのか。


  少年の腹に近づくと同時に、少年の口が僕の肩に近づいてきていた。 

 噛みつきかよ。

 いいじゃねぇか。

 気がきいてるよ。

 殴られただけじゃ足りないよな。

 もっともっとstimulusが必要だよな。


 少年の腹にリバース攻撃が入るのより少し遅れて、少年に肩を噛みつかれる。

 

 噛みつかれるなんてもんじゃない。

 

 痛みもあるが、これは痛みよりも生物としての本能的な恐怖。

 

 人類が捕食される側だった6千億年前を6千万回かけた時代からDNAに引き継がれた恐怖が与えられている。

 

 僕は掛け算なんてわからんけど、億より大きい単位を知らない時にはそういうふうにいうものらしい。

 億の前ってなんだ。

 

 とにかく、すっごくすっごく昔の昔の時代のDNAの恐怖が刺激されている。

 これは、肩を噛みちぎられようとしてる。

 いいねぇ。持ってけよ肩の肉なんてよ。 

 すっごくすっごく昔の昔の時代、人間は他の生物とこうやってゲームしてたんだろう。

 なら、僕が今そうやってゲームをするのもdestiny。


  こいつと僕の関係もdestiny。

 destinyな関係の者同志がdestinyなゲームをする事は至極当然ってやつだ。


 噛みつかれてる状態で X+Y同時押し。


 もう、分かる。

 

 このコマンドが分かる。


 噛みつかれてる状態なら、X+Yの同時押しだ。


 この噛みつかれてる状態のこのコマンド入力は始めてじゃない。

 

 絶対に確実に、今まで生きてきた回数も定かじゃない世界で、入力してきている。

 

  こいつと、何回前のsoulからこうやってゲームをしてるんだ。

 前世の記憶も定かでないのに、そこまで前の魂を前の前の前の世界なんて覚えていない。


  こいつが、僕の肩を噛みちぎろうとし、僕はこいつの鼻を殴る。


 

it is fair game!


 「いいぜいいぜぇ。僕の肩が噛みちぎつくされるか、お前の鼻を潰して潰しきるか」

 

 「どっちが先かだな」

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