第17話 え。必殺技の硬直をキャンセルして必殺技に繋げるのって普通なんじゃないんですか。僕もしかして特別なんですか



 しゅきぃぃ。

 僕こいつしゅきぃぃぃ!

 絶対絶対前世でもこいつの事好きだった。

 前世の僕を殺したの、絶対こいつぅぅ!

 前世で殺された事なんていいのぉ!

 前世で殺してくれてありがとぉぉ!

 だってこいつ殴っても気持ちいいし投げつけられても痛いんだもん。

 それがよ、この世界でまだ投げつけられただけで、殴られてないんだぜ。

 殴られたら、どれだけ痛いんだろうな。

 殴られてぇ。

 お前は投げつける叩きつけるだけで殴ってなくてよ、僕が殴っただけなら、not fair!

 早く殴ってくれよぉぉ!

 まだお前を殴りてぇよぉ!


 ↓↙←+X


 コマンドを入力し、

 「hello hello you」と技名を叫んだ。

  この技の名前はhello hello noseだ。

 さっき、少女との戦いでは思い出せなかった。

 今はもう、思い出した。

 前世でも使ってた技じゃないか。



 本来なら、少女との戦いの時なら、このゲームはリバースゲージが重要でガード時、攻撃を食らってる時にリバースゲージを使って反撃する時の

硬直を消すゲームで、攻撃後の硬直を消す方法はないと思っていた。


 それは事実でそういうゲーム性だったのだろう。

 

 だが、今は違う。

 

 それが分かる。


 hello and goodbyeの硬直で操作を受け付けないはずの自キャラが、操作を受け付ける。


 今はもう、別のゲームなんだ。

  new gameなんだ。


 <大きく踏み込んでーぶーん>


 自キャラが、間違った技名を叫び、大きく踏み込んでぶーんと振る動作を取る。

 

 大きくぶーんと振った拳は、少年の鼻に当たる。


 気持ちいいのは当然だ。

 

 だが、気持ちいいだけじゃない。


 「どれだけ筋骨隆々でもよぉ、鼻まで筋骨隆々ってこたねぇだろ。あぁ」

 

 「てめぇもよぉ、こんだけ鼻にhello combo食らえばいてぇだろうが」


 僕は、画面の少年に向かって喋っていた。

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