第11話

しかし、そう都合よくまた遠距離攻撃魔法を打ってくるだろうか。

 こちらのやられ硬直より早く硬直が終わった少女が、再び遠距離魔法攻撃のモーションに入る。

 その間に、僕はそんな事を考えてる場合でもないのに、考えてしまっていた。

 少女少女ってこいつ誰だよ。

 まず、人に村を救ってだの言う前に君が誰なのか名乗りぐらいしろよ。

 なんて無礼なやつなんだと。

 

  <アイスボール>

 再び、アイスボールが飛んでくる。

 立ったまま、左スティックを後方に入れる。

 予想通り、ガードができ、こちらはダメージを食らっていない。

 そしてリバースゲージも僅かに上昇している。

 これなら、ガードし得だ。

 リバースゲージはガード硬直やられ硬直を消して反撃に移るためのゲージのはず。

 少女は自分からしかけた遠距離攻撃魔法の硬直を消して行動する事もできないのではないか。

 もしくは、画面に表示されていないだけで僕がまだ知らないだけで、攻撃の硬直を消すためのゲージが存在するのだろうか。

  もしアイスボールの硬直を消せないなら、この少女は何故こんな簡単にガードされるような行動を取った。

 少女は僕が異世界転生してきた事を知ってるのではないか。

 いや、それどころか、状況からして、僕を召喚した、僕の異世界転生先にこの異世界をこの場を選んだのは彼女なのではないだろうか。

 彼女の願いは、この村を救って欲しいという事。

 その言葉が嘘だとは思えない。

 なら、彼女はどのような存在を望んだ。

 前世でゲームを遊んでいた者。ゲームが強い者。不特定多数の人間を救う事に抵抗のない英雄気質の者。

 少なくとも、ゲームが強い者は呼び出した条件には入っているはず。

 それなのに、僕がここでガードも出来ないという読みをしてディスアドバンテージになる遠距離攻撃魔法を放つだろうか。

 そうは考えられない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る