第9話

 少女が、魔法を打つような態勢に入る。

 気の放出ではない。

 これは魔法だ。

 今からでも突進技があれば、潰せるような気がする。

 ガードするより、僕は突進技があって潰せる可能性を選んだ。


 ↓↙←+Xを入力する。

 <大きく踏み込んでーぶーん>

 自キャラが技を叫び、大きく踏み込み、技名のように大きく振り切る。

 大きく踏み込んだ分、強パンチやちょー重いぱーんちよりリーチは伸びたが、魔法攻撃の射程に届くものではない。

 僕は、選択を誤った。


  <アイスボール>

 少女のキャラが技名を叫び、丸い氷が発射される。

 こちらは、大きく踏み込んでぶーんで大きく振り切ったので硬直状態はかなり長いはず。

 これは、誰が見ても分かるだろう。

 ガードも回避もできない。


  「足りねぇ!痛みが足りねぇ!」

 僕は、叫んでいた。

 そう、痛みが足りないのだ。

 おそらく、自キャラのHPへのダメージとプレイヤーへの痛みは必ずしも比例しているわけではない。

 この少女は、痛みを与える事を優先していない。

 自キャラのHPも大きくは減っていない。

 遠距離魔法攻撃ではこの程度か。

 今度は、リバースゲージも中々上昇している。

 パンチキックで食らったダメージに対するリバースゲージの上昇よりも、リバースゲージの上昇率がダメージに対して大きい。

 遠距離魔法攻撃ではプレイヤーへの痛みもダメージも少なく、それなのに食らった相手はリバースゲージの上昇量が多い。

 こいつ、思ったより戦い方が一点していない。

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