第4話 拝啓せんぱい、部員候補見つけました。

 結局、数クレ分ゲームをプレイした僕は、別の階に移りいろいろ物色し、学校へ向かうことにした。こっちの道からの登校は初めてなので、地図アプリを立ち上げゆるゆる歩いていく。

 この通りはメインストリートから外れている位置なのに、美味しそうなパン屋さんや個人が営む書店、飲食物持ち込みOKの喫茶店などいろんなお店が並んでいる。今日の放課後辺りにここら周辺をあらためて物色してみるとしよう。

 

そんなことを思い歩いていると、うちの学校の制服を着た一人の少女が視界に入った。しゃがんで何かを探しているようだ。見てしまったもんだから、無視はできず声をかけることにする。


「あの…、何か探し物ですか?」

「あ、家の鍵探してるんですけど…、見つからなくて…」

「家の鍵…? それは大変…。僕も探すの手伝います!」

「いいんですか…!? ありがとうございます!!」

「どこらへんで落としたかとか覚えてたりする?」

「駅から出る時はポケットの中にあったので、途中に寄り道したあそこのゲームセンターかここの通りにあるはずです…!」

「わかった。キーホルダーとかはついてる?」

「女の子の剣士のキャラがついてます!」

「なるほど…。じゃあ、僕はゲーセンの方見てくるね」


 と言ったものの、このゲーセン意外と広くてどこを探せばいいのかわからない。彼女の言動から推理してみよう。まず、彼女は女の子の剣士のキーホルダーがついていると言っていた。今流行りの女の子の剣士が出てくるアニメ、ゲームは数本に限られてくる。が、問題はそのキャラが主要キャラなのか、あまり物語に登場しないモブなのか、はたまたその両方の性質を持ったキャラなのか。この問題のせいで選択肢が多数存在することになる。まあそんなこと言ってるより、プライズコーナーの中を見に行った方が早いな。


 とりあえず、まずは店員さんに聞いてみよう。コミュ障な僕だが、店員さんになら話しかけられる。えっへん。


「す、すいませーん、女の子の剣士のキーホルダーのついた鍵とかって届いてないですか?」

「はい、ありますよー。先ほどテンション高めのお客様が届けてくれましたね」


 本当にあるとは思わなかった…。こんな簡単に見つかるとは想定外。とりあえず、彼女をーって急なことだったから連絡先の交換を済ませていなかった…。とりあえず本人を呼びに行ってくるか…。


 そうして本人を呼びに行き、彼女に家の鍵が渡ると、彼女は僕に頭を下げた。


「本当にありがとうございます! この鍵が見つからなかったら、私どうなっていたことか…」

「お礼は届けた人に言ってあげて。僕はただ発見した人だからさ」

「発見してくれたのも十分礼をするに当たる行為ですよ! 私のユウナちゃんキーホルダーが無事で本当によかった…!」

「鍵じゃないんだ…」

「鍵もですけど! この限定版のアイちゃんすごいんですよ! 劇場版の最終決戦仕様で、持っている剣がみんなの想いを宿した最強モデルでアクキーなのに細部まで再現されてるんですよぉ!!!!!」


 圧がすごい。その一言に限る。まあ熱いのはいいことなので触れずに行く。


「な、なるほどねえ…。まだ見たことないから見てみるよ」

「ぜひ! あの作品は世界でいちばんの作品ですので!!!」

「う、うん、わかったよ…」

「あ! すいません自分の話題で染めてしまって…」

「大丈夫大丈夫! 僕もそんな感じの人間だから!」

「それならよかったです…。そういえば、同じ学校ですね!」

「脇に屈んでてびっくりしたよ。でも解決したからよかったぁ…」

「本当に感謝しておりますっ! あ、私、1年10組の北澤 咲良さくらって言います!」

「僕は丸山 涼。クラスは違うけど、僕も1年だよ。これからもよろしくね」

「はい! こちらこそよろしくです!」

「そういえば、北澤さんってアニメとゲームに興味あるよね?」

「咲良で大丈夫ですよ。どっちも興味大アリです! それがどうかしましたか?」

「そ、そう? じゃあ咲良さんって呼ぶよ。それでね、さっきゲーセンでうちの高校の先輩から、ゲーム同好会? とやらに誘われてるから一緒にどうかなーって。一応女性もいるらしいから大丈夫だとは思うけど…」

「涼くん私も行たいです! むしろ行かせてください!」

「わかった。じゃあ放課後教室によるね」

「はい! どうせならこのまま二人で学校に行きませんか?」

「そうだね。じゃあ、行こうか」


 そう言い、僕たち二人はお昼ちょっと過ぎの通りを、アニメやゲームの話をしながら歩き学校へ向かうことになった。今日だけで話せる女性が二人も増えたことに若干の成長を感じつつ、寝坊した自分に少しの感謝をする。

 五時間目は、確か数学Aだった気がする。ここから授業に戻れば問題ないだろう。

 それにしても、お腹が空いた。どうやら咲良さんも同じことを考えていたのか、お腹がなり、頬を赤く染めている。早く学校に行ってお弁当を食べようと、思った。


 さて、午後もー、いや、午後から頑張りますか…!





作者のひとこと

 さて、翌日(とか言いつつ投稿した日)は久しぶりの登校なので少し雑い感じに仕上げてしまい増した。無念。

 新キャラも登場し、いい感じに登場人物が増えてまいりました。原作が小学生時代の交換小説で、その原本の1/10くらいしか進捗がなく、なおかつ中身がっつり変えてるため、中々の疲労が伴っております。私は元気です。

 では、また次回お会いしましょう。学校行ってきます。

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