夏の想い出

勝利だギューちゃん

第1話

「まて、この野郎」


子供の頃、父の田舎に良く出かけた。

父の田舎は、山の中にある自然豊かな場所。


虫もたくさんいる。

今は、苦手になってしまったが、子供の頃は平気だった。


中でも好きだったのが、オニヤンマ。

何とか捕まえようよ必死だったが、捕まらない。


「しぶといな」


「ふふふ」

笑い声がする。

見ると、女の子が笑ってた。


「君、ここらへんも子じゃないでしょ?」

「ああ。ここはお父さんの田舎だな」

「君は虫取りの素人だね」

「わるかったな」


女の子は笑う。


「オニヤンマは縄張りをもっていて、その範囲内しか飛ばないから、待っていれば戻ってくるよ」

そいうえば、オスはそうだったような。


「貸してみて」

「ああ」

虫取り網を渡す。


「見ててね」

女の子は、あっと言う間にオニヤンマを捕まえた。


「はい」

「ありがとう」


オニヤンマをこんなに近くで見るのは初めてだ。

緑の大きな眼が、美しい。


「・・・まあ、彼で妥協するか・・・」

「何か言った?」

「ううん。なんだも」

彼女もオニヤンマに興味あるのかな?


「その子、どうするの?」

「逃がすよ。虫は自然の中で生きるのが一番だ」


オニヤンマは大空へと飛びだって行った。


「早く嫁さん見つけろよ」

オニヤンマに声をかける。

〈わからないと思うけど〉


「大丈夫。すぐに見つかるから」

「えっ?」


気が付いたら、女の子は消えていた。


しばらくすると、少し大きめのオニヤンマがやってきて、先ほどのオニヤンマとくっついた。

オニヤンマは、オスよりもメスのほうが大きい。


「まさかね」

僕は、帰宅した。


また追いかけたいな、オニヤンマ。

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夏の想い出 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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