第二幕 元帥の部屋にて
俺はこの国で権力を得た。見ろ、この豪華な部屋を。高価な家具、窓からの眺め。踏切から遠く離れたこの宮殿には、あの忌々しい警告音も届かない。昔の自分では考えられない生活だ。……昔? 昔って何だ。俺はずっとここにいたんじゃないのか。まあいい、今や俺は何の面倒なこともする必要のない存在なのだ。仕事は下っ端どもがすればいい。俺は毎日遊んで暮らせる。
あの時、軍の必要を説いて大臣を辞めて軍隊を作ってよかった。初めこそ人数も少なく面倒だったが、今では見ての通りだ。大臣どもは今でも毎日忙しく国の管理をしてやがる。まあ働きたいヤツは働けばいいさ。
不愉快なのは王だ。たかが俺の何人か前にここに来ただけで国の中心面してやがる。何もしてないだろうに何でもヤツの思うままだ。人には分相応ってもんがある。あんなヤツより俺が王になったほうがいいに決まっている。そうだ、そうに違いない。あいつさえいなくなればいいんだ。どうするかな。
突然、部屋の扉がノックされ我に帰った。
「入れ」
入ってきたのは部下の一人だ。
「何だ」
考え事を邪魔されたいらつきもあって、多少きつめの声になった。
「元帥、王がお呼びです」
部下が怯えながら口にした言葉は、願ってもないことだった。
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