第50話「遂行者たれ」
礼儀を習い
心を習い
人と対した時
どこか教科書にない
脆弱性を感じた
つまりは人は
理想像とは合致しない
ゆえに自身さえぶれた
教科書さえ意味がなかった
私は生きるために本を読んだが
そこで習う器を持てという
受け身の姿勢が
自身を壊すことさえ知った
しょせん世界とは
学んだとして
愚者は消えない
だから
学ばぬものにルールなど必要ない
ちぎって切って
断罪して
とことん無知である罪を教え込む
分かっている
自身さえまだ無知である
しかしそれでも
その不足感こそ
教科書が満ち足りてない証だ
つまりはこの世の教育が
間違っている
あまりに弱弱しい
もっと強く律し
もっと固く結び
断固たる壁を築かねば
人は誰しもおろかになる
この現在の世界水準など
ほんとに浅い限りである
変えろ変われ
愚かであることに気づけ
誰もが自身に戒律を持ちえ
淘汰し磨いていけ
甘いんだよ
誰もが甘い
だから私がここで泣いている
ここでこんなにも無様に
当然のことを言っている
これが痛いか?
耳が痛いか?
そうか愚かものめ
お前は考える前に
そうして
遠ざけて
理解することをやめている
それこそ最も浅ましい
生きるという覚悟を
ひとりでに考えてどうする
この世には数多の人がいる
つまりは組して考えずに
何が導ける
もっと理解しろ
もっと前を向け
お前は私に会えた
ならばこの出会いを
無駄足にするな
飛べ、少年、少女
そして人民よ。
この世に捨て置いていいものなど
一つもないぞ。
常に遂行者たれ。
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