第49話「弱みこそ強み」

生きることに

気だるさを覚える

私はすでに楽な道を探し

そこで得たのが

日陰者になるという

頑張らない道だった


私はとっくに

自身に荷を乗せることなく

あんのんとした

ぬるま湯の世界に居る


仕事も義務もない

完全なる自身の世界

誰も介在しない完ぺきな日程

そうである

人は弱いほうが

自由は手に入る


目立つほどに

プライドは上がるだろう

燃えるほどに

消えるものがあるだろう

だからすべてを排して

自身だけの空間にいることにした


人的要因はない

外的浸食もない


ここは自身によって完結できる

自己完結型の無制限世界だ


実に素晴らしい

誰の目も気にせず

誰の感にも触らず


息ができるのだ


広大に広がる

手つかずの未来

実に気分がいい


考えるだけでも

聞こえはいい


君も落ちないか

堕落という道は

本当に素晴らしいよ

本当に自由だ


ああ、なんて僕は幸せなんだ

こんなにも若くして

全ての不安を消し去った


ひきこもりとは

最高の境地ではないか


心が病んでるといえば

誰もがココにいることを

疑わない


本当に簡単だ


努力もいらない

ただ暗い顔をして

悲劇にあったような

繊細さを見せればいい


な、簡単だよ


僕はね、本当に、この世界が

涙に弱くていいなって

思ったよ


最高だね。


最高だよ。


弱みこそ強みなんだよ。


そう知ったね。


ほんとうに簡単だったよ。

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