第47話「セルフデッド」

さよならの先に

自由があると思っていた

でもあったのは

新たな不安だった


生きることに

つまづいて

死ぬことに

恐れなくなって

そうして壊れていく最中で


ただ呼吸が苦しくなる

どれほどの闇の中に行けば

私はすべてに踏ん切りがついて

思い切れるかと

そう、どこかタケを外して

一気にぶちまけたいと思うが


いつまでたっても

思いのたけをさらけ出せなかった

結局何もかもにとらわれたまま


ひきずってひきずって

何もかもため込んで

重くて辛い

そんな地獄のような世界に縛られ


永遠に自戒にする


死ぬ理由を問うより

生きれる糧を持てと

賢者は言うが


しかし死にまさる

美意識はないと思う


ゆえに私は孤独であることに

敗北を覚えてるわけではない


あるとすれば

圧倒的な心理的世界であり


己を律し続ける中で

死が見えるほどの

その裁量を決して不出来だと

認識はしていない


私は生きるより

死を問う

それに間違いはない


死してなお輝けると

この命の華々しい才覚を覚えているからだ


人はいづれ死ぬ

ならば劇的に死ねることに

なんの失念があるだろうか


無論ない、


ゆえに私は絶壁に立ち


高揚している


これこそ人の中で死んだ


真の男の姿だと


私は思うからだ


ではな、世界。

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