第38話「忘れて」

むなしいまでに

孤独は虚無を映し

がらんどうになったこの心が

延々と惨劇を刻み続ける


この狂った地球儀の上で

何を正せば

私は私で居られるの


理由なんてないわ

それだけの世界だと

わかっている


誰もが無自覚に動いている

そうよね


それならこんな景色にさえ意味はない

世界など無規則な

ただの箱庭に過ぎない


それでもたまに心動かされる

これも偶然かしら


いえ、きっと

胸の奥まで届く

人の何かがあるのかもれしれない


それもいいわ

世界がただの箱でなく

もしかすれば美しい何かもあるのかもしれない


そう思えるなら

確かに救われるようね


でも、私はきっと

最後まで目にすることが出来ないのだと思う

それは私の目はすでに死んでるから


写すものを残骸のように見てしまう

希望を消すような妄想が浮かぶ


全部が全部

暗くて暗い悲しみに見える

だからこの今感じた

どこか新しい風も


私が理解するころには

けがれてしまう


いいのよ

私って曲がってるから

ひねてるから


だからそんなんでもいい

それが今までで

当然で

全部がくだらないものになる


心にあるのは

ただの残骸ばかり

影ばかり


いいの


それでいいの

私は一人でいいの


そうしないと

人って種をどこまでも落とし込めるから


ほんとはね

死ぬのが正しいってわかってる

生きてちゃいけない人間だってわかってる


でもね、どうしてか死ねないのよ


わからずやでしょ私


ね、あなたは私に生きててほしい?


そんな訳あるわけないわよね


ごめんなさい


忘れて。

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