第37話「心の底に」

砕けちった心が

夜にあたって

流れる

確か涙って言うんだっけ

こんなにも不確かで

こんなにもあやふや


感情が理解できずとも

流れ出す

これをなんというの

君には見えて

私には見えない


そんな結晶体だ

ほんとにわからないよ


思い描いていた

日々とは違って

つのる悲しみと

隣の幸福が


打ち寄せるこの部屋で

ただ涙みたいな

孤独が染みつき


どれほど時間がたとうと

誰も訪れない

そんな遥か宇宙のような闇に居る


このまま部屋に落ちたまま

ただ死が来るまで

ここで凍てつくだけなのか


そうさ

そうだろ


所詮人間なんて

誰かのために本気になれない

だから世界はこんなにも

闇で満ちてる


だから私だってこんなにも

無情な孤独を抱えてる


誰かが居てくれるなんて

ありえなくて

誰もが綺麗なものと居たくて


私なんて

ただ醜いだけだから

不格好だから


ほんとに誰も来てくれないんだ


わかってるでしょ

今更何よ、


自分で言ってっておかしくなる


ならもうほらこのまま

自分だけを抱いて

果てるまで

永遠のゼロのままで


終わればいいじゃない


期待なんてしない

希望だって持たない


ただどこまでも落ちて落ちて

何よりも醜くなって


死ねることが清々するくらい

淀んでやる


ね、いいじゃない


ほらね、私なんて

狂ったほうが

いいのよ


誰もいらない

誰もいらないから


それなのに

この青い結晶はなに

涙なんてありえない

ありえないよ


悲しいことなんてないでしょ

今更、怖いこともないでしょ

もう世界を切り離したのよ


だったらもう泣く必要なんてないじゃない

なんでなんでなけるのよ


わからない


わからないよ。


ね、もしかして

この心の底に

誰かいるの


まさか、ね。

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