第35話「最後の出口」

涙をこらえて

いつも暗い空の下を歩いていた

何者にもなれず

ただ命を浪費して

痛みさえくだらないと

すべて犠牲にしたんだ


もう一回なんていらないよ

人生が終わって

早く別れを告げたくて

それだけだ


この先続くであろう

未来という不確定な

不安要素を

考えて

立ち止まって

ただもう命を投げだして

壊れているけど


それでも確かにきしむんだ

亀裂が胸を痛ませるから

次が怖くなる


だから言ったでしょ

私の次は死がいいの

もう怖いから

もう辛いから

もう何も見たくないから

ただ死にたいよ


ね、叶えてよ

もうここじゃ息もできないから

ここじゃ自分を嫌いになるだけだから

だからもう命なんて

重たいもの持たせないで


ただもう朽ちていく

それだけなんだ

そんな未来しかないんだろ

だったらもう早く終わりにしてよ


変われるなんて

可能性ばかり見せられたって

私には遠く及ばないよ

これまで何度だって

生きたじゃないか

その意志だけが唯一の勇気だったよ


でもね、もう無理そうなんだ

涙があふれるんだ

何もない一日さえ

暗い気持ちに支配されて


本当に苦しいんだ

本当に痛いんだ


だから、ね。


もう私を楽にしてください


思いっきり傷つけて

再起不能になるまで


命の出口へ連れて行ってください


それだけです


ね、簡単でしょ


生きるより簡単でしょ?


ね、そうだよね。


そうだよね。。。


わかるでしょ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る