第34話「本当の声」

いつかはきっと

あの空に手が届くだろうか

ただ世界は遠くて

居場所はない


それでもあの空だけは

確かにソバにある

そんな気がする

寂しさが立ち込める時

それでもソバにあった


深い澄んだ青

清くたなびく白い雲

ただ美しい


涙が出るまでにただ美しい


そうして微細に

心を色付け

ただ抱えた猛威を

いなしている


それでも淡々と息をして

この先にある

掴みもできない

人生を生きれるのかなんて

やっぱり不安になる


生きてさえいれば

いいと

それでもそれさえ

苦しいと

大人たちの言葉がとがって見えて


ただ守るように

耳をふさいだが

それは異常だと

心がおかしいと

そう、隔離された


ねぇ私はただ

話を聞いてほしいだけ

どうなりたいとか

理想とか

そんなんじゃないんだよ


私はただ生きて

何かをつかみたいの


でもそれも無理だって

道を拒んだのは

弱いものだと

そう決めつけたのは

あなたたち大人じゃないの


私はね、ただ空に広がる

あの青の中に居るだけでも良かったんだ

つながりとかそういう前に

ただ世界に触れて

気を休めたかったんだ


ねぇあなた

あなたはそれでも

私をここに括り付けるの


ここで息をしろっていうの

わからないよ


ほんとにわからないよ


でもね、私のことを考えて

そうしてくれたって事もわかるの


だけど違うよ

声はね時には嘘をつくの

だから私だって強がって嘘を言っちゃうの


論点はそこじゃないの

生きれる道を問わないでほしい


ただ笑えて居心地のいい人生に

導いてほしい


それだけだよ

それだけなんだよ


ね、あなた。

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