第33話「生命線」

そうして私は一人

孤独に打ち震えながら

歩くしかなかった


この先

どれほど行けば

果たして胸の痛みは消えるのだろう

忘れることも出来ない

この一生分の恐怖は

一体どうなれば

大丈夫になるのだろう


ただ絶望と奈落の底だけしか

知らない私が

光をとらえる事が出来るだろうか


でも心は知ってる

心が泣くときと

心が笑う時

それは知ってるんだ


あのあたたかな気持ち

あのぬくもりのような太陽

それくらい分かるから


どうか誰か手を伸ばしてくれませんか

私に手を差し伸べてくれませんか


ただ生きてみたいんです

自由に笑いながら跳ねてみたいんです


物語の中で見たあの拾われた子みたいに

私も拾ってくれませんか


期待をふくらまして

ただ待っているだけだけど

そんな待ち続ける

情けない私だけど


でもね、それが精一杯なんだ


だからお願い

私をここから連れ出して

広い世界に連れ出して


あの大空の元まで

手を引いて


ただ生きたいんだ

一人じゃなくて

誰かと


あなたと行きたいんだ

だからいいかな


私はさ、まだ何も知らないから

きっとなんでも驚いちゃうと思うけど


それでも全部すくい上げて

大丈夫だって

怖くないって

そう強く強く抱きしめて


じゃ

待ってるね

ここで待ってる


必ず私をみつけてね

お願い

お願いだよ


私の生命線になってね

未来になってね


あなたへ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る