第30話「闇より先へ」

最終便だって

そう祈って

ただ不実なリアリズムと

蹴り飛ばした自分の心が

悲鳴を上げる


この先に

一体どれほどの

夢が待ってるのかと

そんなことも想像できないほど

何も考えれないほど

ただ絶望に飲まれていた


立ち止まって

見上げた空さえ黒くて

もう見るものすべて

自分を透かしているから

物悲しいほどに

錆びていて


ありていの言葉も

繕ったけど

ただ虚しい声がこだまする


もう何を歌えば

この人生を乗り切れるかと

そう生きることへの恐怖が

どこまでも続き


今日さえ超えればと

何度勇気づけても

全て無になるほど傷を負った


帰り道を探して

夕日の中に見えた

あの暖かそうな光に溶けたくて

涙が込み上げて


もう痛いよって

泣きたくないよって

どこか祈って


でもその願いは永遠に

虚空を彷徨って

私に影を落とす


そうして誰からも見られない

部屋の中で

自分を守ろうと

そう

画面の中を

やみくもに抱きしめて


ただみたいものだけを見て

勇気づけていた


きっと大丈夫

大丈夫だからと

世界は明るい場所だって

そう言い聞かせるように

曲をリピートして


ただ一人じゃないって

思いたかった

でもその希望にさえ

雲はかかり

引っ張り出されて

世界に立てと

そう扉を叩く音が

怖くて辛くて


人生を破り捨てて

ただもう修復できないほど

壊れれば

誰も邪魔しないと思ったけど


結局それだって

自分を傷つけるだけだって

分かっていた


だから私はもう

闇に追いつかれる前に

焼け死んでもいいから

光に飛び込もうと


そう扉を開けて


走って見せた。


ね、頑張ったよね私。


頑張ったよね。

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