第25話「この命を奪ってくれ」

世界から隔離された

この孤独の荒地

すさんだ風が吹き

毎秒のように光に射抜かれる

歩くことさえ怖くなり

うずくまったこの最終到達点で

ただ見ないように


下を見て

地に落ちるように

終わりだけを求めた


ああ、どれほどまで

進めば

この不毛の地を脱せるかと

そうどこか淡い観測をするが

しかしいくら経っても

歩き出せそうにない


そうして凝り固まった風景の中で

ひしひしと命が燃え

ただ灰をかぶる


いさぎよく死んで

これ以上禍根を残さず

恨みつらみから離脱しようとするが

それでも死へ踏みきれるほど

単純ではなかった


そうしてあらゆる事に

しがらみを覚え

生きることも死ぬことも満足にできず

ただ何度も自分を見返し

ミスリードを探したが


どこからも叫びしかなく

この生き散らかした全ての惨劇詩が

ただ私だと

そこに添える励ましが思いつかず


ただ醜いあまりに

染まってしまったのだ

光の一寸さえ醸し出せないと

ただ痛烈に


懺悔した


ああ、それでも私は

やはり顧みることが

盲点が落ち度が

分からず


所詮狂っているのだから

冷静にとりあえず

ただどこまでも伏していくのだと


ただこの先もそうだと

どこまでもそうだと

ただ脅迫的に


怯えながら生きて行くのだと

何もかもを背負って

何かもに見放されて生きてくのだと


ただそうなんだと

思い切った


でもどうだ、

悲しみは途切れない


例え開き直ろうと

ふいにしたって

所詮は騙しているだけ

所詮は見ぬふりをしてるだけ


本能は醜く

闇を吸い込んでしまっている

だからもう


期待しない


もうただ死なせてほしい


それだけだ


命がある限り

人である限り

永遠に救われない


だからもう一思いに

切り付けてほしい


ねぇあなた

もう嫌でしょ


私は居るだけで

邪魔な人でしょ


お願い

首をしめて


ただ息を止めて


もう自分じゃ

死ぬことも出来ないほど

腐っちゃったんだ


だからお願い


お願いします。


私から命を奪ってください。


お願いします。

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