第22話「嘘と誠の関係」
間違いを見つけ
それを見て
正すことより
流すことを覚えたのは
いつ頃だろう
子供時代から片鱗は見え始め
ただ素直になれずに建前を覚えた
誰かに媚びて
誰かを省いて
そうして自分を守るように
嘘を重ねる
でも生きて行くには
ここに居るには
そうしないと
いけないと
その決断がなければ
火の粉が自分にまで来ると
そう思えたから
ただ嘘を付くほかなかった
家に帰れば
機嫌を取るように
メールに追われ
ただ自分の時間など無かった
それでも支障なく生きるために
標的にされないように
そうするほかなかった
わかってる
この決断も間違えで
全然楽しくないと
全然笑えないと
でもこれ以上ひどい目に合わないように
そうするほかなかった
生きることは難しい
そう徐々に塞ぎこむようになった
苦手意識がつくほど
息は苦しくなって
朝が来るたびに
恐怖に覆われた
それでも認めたくなくて学校には行って
とにかく建てて建てて
仲間に入れてもらっていた
ほんとに滑稽だ無様だ
こんなのがこれから大人になってもあるとすれば
私は閉じこもったほうが幸せではないか
考えずに済む一人のほうが
何倍も楽ではないか
救われるのではないか
ただかき分けて一体何になるのだろう
人は結果として最期まで一人一人で
心が通ったところで
それが何の役に立つんだ
慣れあって
いい気になって
それでおしまい?
くだらないよ
やっぱりくだらない
だったらもう奪って
壊して
蹴落として
自分のためにもっと強さを得ればいい
輪になって手をつなぐなんて
あまりにも不確かすぎて
曖昧過ぎる
だったら刃を立てて
口を尖らして
否定から入れば
何も怖くないんじゃないか
事実束になってる彼らなんて
ろくなことをしてない
くだらない地位だけを求めて
馬鹿笑いしてるだけ
だったらそんな輪に入った所で
ただ自分が汚れるだけだ
でも怖い
反論が怖い
事実彼らは強いから
一度目をつけられれば
どこまでも煽ってくる
そうすれば壊れてしまう
でもそれを壊せるならば
どれだけいいか
一人になるか、嘘を付いて笑うか
この問いが
延々と私を惑わせる
延々とまとわりつく
どうすればいい
どうすればいいんだ
前向きに考えても
やがて後ろ向きになる
もう全部間違ってる
判断材料がそもそも腐っている
なぁ俺、なんでしがみついてる
何を求めてる
欲しくもないものをなんで受け入れてる
お前はいつになれば
正直になれる
なぁ俺
ほんとは、友達が欲しいんだろ
だからそこまで輪を気にしてる
人の目を気にしてる
足りないから足そうとしてる
そうなんだろ
でもな、
嘘笑いして
それで友達だって言えるか
それが居場所だっていえるか?
俺はお前を知ってる
お前は俺を知ってる
そのはずだろ
いつだって自問して
いつだって人としてあろうとして
そうやって傷を負ってるんだろ
立派じゃねーか
凄いじゃんか
お前はさずっと人の気持ちを考えるじゃんか
だから嘘を付いて
それでも加わろうした
だがな
良いことを教えてやる
嘘から誠は生まれない
そういうもんなんだよ
じゃあな。
後はお前次第だ
本音を言えない友達は友達じゃない
だから間違えるな
いいや恐れてるだけか
いいか覚えとけ
嘘から誠は生まれない
そういう事だ。
頑張れよ俺。
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