第21話「死んだら終わるなど嘘だ」
そうして宇宙は
静けさを取り戻す
この部屋は
およそ四畳半
孤独と居るには広すぎるくらいだ
本だけを読み漁り
知識よりは時間を肥やすばかりで
何もかも捨てている
この先
生きたいという程
能天気な性分はなく
ただ辛く重苦しい
その不相応な場所にいる
ああ、全てを捨てているのに
なぜ痛みだけは積み重なるのだろう
宇宙が空を飲み込むのはいつ頃だろう
僕が死に支配されるのはいつ頃だろう
この宇宙規模のどこか
壮大なスケールで日々を小さく見たくても
ただ一つ一つが痛烈に痛い
そうして見上げた空に
ただ己こそ最も小さいと
何もかもに翻弄されて
自由さえ選べない
そうしてシケた日々が
延々と延々と
僕の息の根を腐らせ
そうして果てたいあまりに
心はイカレテ育っていく
ああなんなんだ
ほんとになんなんだ
ぶらさがった
無秩序で無節制な
暴力を目にして
そのドラマが
こんなもんかと
軽く見えるほど
僕は悲しみの深さを測れるようになって
涙さえ軽いと
同情もせず
感動もなく
哀れみもなく
せいぜい虐められろよって
薄ら笑いで見ていた
そうして弱者とも破局して
この未練たらしい自分が映った窓ガラスを壊し
鏡を割って
ただ究極になって
分かったのは
やはりこんなことしても無駄だという事だ
そうして破片を集めて
手を切って
垂れた血に
なんだ全然痛くないじゃないかと
心のほうがおぞましいと
痛いと悟った
なら死ぬのは大して痛くないのかもしれない
そうしてナイフを握り
腹をえぐってみたが
やはり痛くなく
意識だけが笑っている
そうか死とは
痛みではないのか
痛みではなかったのか
死とは止まってしまうという事か
まだ何かやり残しがことがある
だから死が怖いか
この血はきっと
涙より強く生きている
そうか
そうだったか
なぁ俺、死んでみたいと言うのなら
まずは死んだ後を考えないとな
いいか死はこの世界を失うってことだ
だから世界から消えたいならそうすればいい
だがまだ足掻けるならここに居ろ
未来は誰も知らない
未来を生み出すのもお前だ
なぁ俺、よく聞け
お前は生きたいから悲しみを感じてるんだ
そうじゃなきゃ悲しんでない
悲しみはなこうなれればという
そういったものからでる
だからお前のその悲しみは
間違いなく
変わって見せるというそういった覚悟なんだよ
だから死ぬな
生きろよ
やれるって
やれるから
死んだら終わるってそんなの嘘かもしれないぞ
だから意識のあるうちに変えて見せようぜ
な、俺
お前は生きるために生きることを選べ
それが正しい選択だ
な?
生きろ
ただ生きていろ。
それがお前を変えてくれる
それだけが変わる手段だ
希望はある
生きてる限り終わるものはない
だから
生きろ
生きていろ
生きるんだ。
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