第20話「勇ましくあれ」

消し去ったこの心の

跡地をなぞって

渦巻いた胸中さえ消えたかと

照らし合わせた

でも以前

前さえ向けずに

ただ痛みは残っていた


この浄化できない

わだかまりは

きっと

どこまでも

私を追い込み

ただ莫大な敗因をこれからも

導いてしまうのだろう


ほんとに苦しい

それでも

何を消せば

報われるかと

引き算だけをし続けるが


人は離れていく

もう何が正解で

どうあれば良いのかと

その模範的回答が分からず


ただ惨敗して

痛んで

黒ずんでいく


この付きまとう影は

一体何を啓発しているかと

その湧き出る未練が

何の意味も待たない

ただの最悪でしかなく


では何を機に変わり目を見いだせるかと

延々としたパンドラを彷徨うが

泥沼のように沈み込んでいくばかり

もがくほどに足をとらえ


時間がたつほどに

こじれていく


ああもう

なんだよ

こんなんで

こんなんで

僕はいつになれば死ねるんだと

ただ狂うがままに

気を壊すが

しかして傷つく心だけは機能して


もうならばとどこまでも落ちてやると

そう全てを顧みず

どこまでも悲劇に埋没したが


ああでもただ涙がでた

結局僕はこんな悲劇のヒロインを楽しんでしまっている

だから涙が出て

自分の弱さに賞賛を送ってしまう


なぁ俺はほんとに馬鹿だよな

いつになれば

未来へ行けるんだ


前進できるんだ


こうしてうずくまっていなしていくだけで

ただ風だけを帯びて

嵐さえ恐れている


なぁ俺よ

何がしたいんだ


ほんとに生きるために

悲しんでるのか

もう空白を埋める事より

この喪失に達観して

ただふんぞりかえって不幸を受け入れてないか


ああほんとに俺は

僕は

私は


霧散していくだけで

序列を失っていくだけで


ほんとに何も学んでいない証だ

この失敗を不幸を


なぜ甘んじて浸っている


ほらさやっぱり俺は

孤独を愛してしまって

弱さを愛してしまって


幸せになることより

傷ついて終われる日々に

なぜ心打たれてる


なぁ俺


もういい加減

認めろよ


自分の弱さを

自分の卑猥さを

いつまでも助けてもらうのを待っているだけで


ほんとは奇跡ばかり期待してるんだろ


笑えるよ

ほんとに同情だけだよ


好きにすればいいさ

もうどうでもいいさ


お前はそうして自分だけを抱いて


一生孤独でいればいいさ


分かってんだろ

人はな、いつか涙は止まる

いつか忘れる


だから早く立ち上がれよ

何を守っているつもりだ


傷ついたなら

次は上を向く番だろ

お前の番だろ


いつまで相手の出方を待ってる


お前だって生きていいんだよ

振りかざせばいいんだよ


傷と傷を結んで絆はあるんだよ

だから恐れるな


お前はもう傷ついた戦士だ

だったら剣を持ってる

野心を燃やして

いいんだよ


な。


生きろよ

勇ましく傷つきながらでいいから


それでもいいから


ただ前を向け。


お前はやれる

やれるやつだよ。

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