第17話「達者でなソナタよ」

陰影を醸す

空の青

その世界はただ宇宙に匹敵した

仮初であった


全ての森羅万象が

人の造形で意味づけられ

ただ正しいように見えているが

本来、真髄とは誰にも悟れない


人である自身でさえ

自身の事を凌駕できず

また語り部も全能ではない


つまりは先駆者の誤りこそ

この世界の孤独であり

全ては盲目であることに変わりない


誰かが正しいなど

その時の情勢であり

真実に到達した者などいない


だからその痛みは

偽物だ

ただのその場限りのただのくだらない

ざれ事だ


だから泣くな

その涙はまだ本当を知らないだけだ


知性を飼え

孤独に敏感になるな

ただそなたは


まだ世界の見方が定まっていないだけだ


物腰を据えて

全てを見越してみてしまえ


簡単なことだ

世界などただの檻

ここはただの地上だ


そこでどうして

自分を殺す必要がある

もうそなたは生きているんだ


二度は歩めない

この地球に降り立ったのだ

ならば叶えるために


そのすべてを振るえ

全てを一心に受けて

それをすべてバネにして

どこまでもさすらっていけ


ここはもうそなたの人生なのだ

この言葉なども大して意味などない


そなたこそが主役だ

だから間違えてはいけない

ここはもう生きるべき世界だという事を


自身が生ける世界だという事を


覚えておいてくれ


それだけだ


ではな、


いづれ運命などと言うそんな出会いはあるはずだ

それまで何かに震撼するまで


今はここにいてもいい


だがもし

心に触れる何かを見つけたなら


もう迷わず

過去は捨て

そこへ行け


そなたは強い

それは私が知っている

なぜなら


そなたは孤独を知っているからだ


でなければ

人は傲慢になりえるのだ


そなたは危ういが

その分

知性を得た


それは誉だ

それは栄誉だ


だから行け

心に差し込むその光を得るまで


とにかく探し続けろ


今だけは

ここで何か策を練ればいい


ただきっと必ず人は出会う

運命と呼べる

その出会いに


だから今はそのために

ただ孤独を知り

傲慢にならない


気遣いを持ちえ

そして羽ばたく翼を

整えろ


それぞ今最も正しき

解である


さぁ迷うな

もう今はそなたにかかっている


ここで見つけたか

何かあったか?


ならば来い


ここへ来い


なんてな


もうそなたは

既に立派だ


分かるぞ

何故ならそなたは

優しい目をしている


ならば大丈夫だ

ほらそなたよ


道はあるぞ

見えているな


ならば私は見送るだけだ

ありがとう


ありがとうな


元気に生きろよ


達者でな。

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