第15話「天に呼ばれて生きてみる」

そうして僕は悪魔になり

涙さえ毒を含んでいた

これは僕が死に

それでも覚えてもらえない

僕のために捧ぐ唄だ


あの日に置いてきた

僕という遺書は

確かに届くだろうと

どこか優越感を感じたが


死ぬために準備した生活が

また涙をさそって


夕日の中にある天国が

また遠くなる


もう世界とは相いれないと

飛ぶ決心をして

それでもそよぐ風に

ふと降る雨に


どこか美しさを感じて

傷みが飛んで行っていく


こうしてまた朝になり

覚悟だけあやふやになって

また殴られて帰ってくる


それでも生きたいと

この世界にあった

どこか懐かしい愛が

うずいて


どれだけ傷つけば

すっぱり諦めて

もうこれ以上を望まないほど

死に踏み切れるかと

思うが


やはり夕日の中に溶けていく

ああこの明かりは何を思い起こしているのだろう


誰かを思うことをやめても

この流れる情景が何かを写すから

僕はまた生きてしまうんだ


ほんとに分からないよ

ねぇどうなってるの

生きろと君は言うの


世界の声が僕を惑わして

人にはさんざん嫌われて


どうすればいいかなんて

もう自分でも分からなくて

それでも世界は変わらず灯り

この先、またあのどこか優しい夕日が見れるならと


何度心を殴られようとも

また生きてみようかと

そう思えて


やはり僕はつくづく不幸な性格をしているんだ

それでもやはり生きることに

間違えはないはずだ


あの遺書を消してから

もう数日


相変わらず瘦せほそって

力なんてないけれど

帰り道だけはどこか救われている


こんなんでいいかもしれない

傷みさえ悩みさえ

刹那みたいに

流して

ただ流して


夕日に溶けてしまうまで

ただ流せばいい


もう僕はきっと生きれる

たぶん生きれる


ごめんね

心配させたよね

大丈夫だよ


世界にはまだ見るべきものがあるみたいだ


だから大丈夫

大丈夫だよ


生きるよ

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