第13話「死にゆく君に捧げる」

何かを描いて

それを声にした

いづれ死ぬならば

どうして君は足掻くのだろう

決まり切った人生

終わり継ぐ私


ただの私じゃ

もう見え透いた

明け透けな悲劇のヒロイン

同情なんて要らないと


言葉だけどこか飛んで行って

心は何も感じず

弱音ばかり吐いた


この非常すぎるありさまを

ただ抱え

凍てついた大地は

ただ涙さえ溶かしていく


もうここには誰もいないと

そう何度も言い聞かせ

孤独がまだあるようにと

どこか優しくなる


それ以外は何も出来ずにさ

そうして使い道のない

この心だけが重なって


もう捨てたほうが楽だと

思うくらいに


邪魔なものが多すぎる

屈辱と嗚咽の中で

悲鳴を上げ

怒号はうなる


何もかもを

要らないから

せめてお願い

優しい死をくださいと


嘆くけれど

痛みだけが

募っていく


あぁ


なんでこんなにも

忘れ去れないのか

なんでここまで

私は私が憎いのだろう


ああ

そうだよな


そうだった


私はただ

この世界がどこか目覚めた時から

嫌いだったな

だけどさ


愛をもらったから

生きていたんだよな


それが無い今

どうすればいいの

もう分からないよ


わめいて砕けて

壊れ去って

ここは一体、誰の世界


ああ


もう終わりにしようよ

早く君を追って死のうよ


そうでしょ

君が消えたから

僕は花咲くことない

永遠の枯れ尾花


もうここには

立ち入らない


君だけは僕が守る

死んだ後でさえ

約束するよ


出来るだけ

多くを不幸にして

君のために葬ってあげるよ


君が笑えて

戻れる世界を

僕が作って

連れ戻すから


ね。待ってて。


僕は君だけにこの命を使う


だから、ね。


約束

約束だ。

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