第7話「光と泣いた日」

影は光から生まれる

その一見科学的見解も

今夜だけは目に染みた


世界中にあるそうした優しさ

そこから生まれた無力さ

その自分一人で立てないという

そんな公言できない

どこか振れた感情


ああ、そのたび

自分の小ささにまた凍てついていく


このどうにも整理できない

フラッシュバックと

完全に無となった心が


ただ脈略も無しに

わめくから

あらゆるものを壊し去った


それでも切れない

このわだかまりが

ジレンマが

葛藤が

ただ燃えて

燃え続けて


もう不自然に僕を追い込むから

優しさが痛いと

そのすべてを否定する身構えが

やっぱり君さえ壊すから


だってそうしないと

僕が恵まれれば

君はきっと後悔するから

僕は報われちゃいけない


日影ものだから

光になった君が

僕に光をくれたら

今度は君が僕の影を落とすから


もういいんだよ

大丈夫だから


優しさも愛も何もかも要らない

僕はただ一人で

いいから


最期までなんて無理しないでいいから


それでも君は笑うから

ああ、ほんとに調子狂っちゃって

僕も笑えたんだ


ありがとう


本当にありがとう。

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