第4話「それでも生きろ」

事はやすしと行かず

時間だけは正しく進む

この一見して世界の森羅万象とは

事もあろうに私を闇夜に置いていった


果たしてどれほど

生きた先に

この光なる道があるか

はたまたこの未来こそ

全てなのではないか

そういった一抹の不安が脳裏をよぎる


混沌と腐敗

必衰と忘却の中で

いつか天にまで願ってしまった

そのあまりに不幸な最期まで

私は果たしてどれほどの速度で向かっているだろうか


もう命の制限を超えている

これ以上は死の域を凌駕する

世界とは茫漠であまりにふてぶてしいまでに

大々的であり


それこそが私の一声さえかき消す

見つけられず

認めれず

見てもらえない

これほどまでに豪が泣いているのだ


これほどまでに真意は無体なのか

ああ、全てをつかさどり

全てをあまねなく律したその正義は

どこで寝ているのだ


私は今、こうして業火にやかれ

事もあろうに

言葉をあおって、泣きついている

ああ、これほどまでに

世界とは世界とは


意を持っても報われざれるか

真実は闇、

いいや全ては闇の中

私はどれだけ生きても

この先、誰からも詰まらない人間だと

そう一言で片付けられるだろう


うろたえるな

うろたえるな

私よ


世界とはそうではないか

世界とは求めるほどに喪失を失うと知ったはずではないか

なぜここまで来てよがっている

身を伏してまで孤独に耐えたのはそなただろう


ああ、そうだ

そうだろう


行けばいい

例え自身を鼓舞するほか無いとしても

それはあなたをせめて導く

最後の灯りなりよ


行くがいい

我を背負い

我が言葉を信じ

どこまでも落ち

どこまでも笑って見せろ

で、無くば

死んだ後も後悔するだろう


行け。言葉の限り自身を騙しながら

この世にせめて食らいつけ


そなたは出来る

出来るはずだ


ここまで生きてきたのは

何かくすぶるものがあった証なりよ


絶やすな、生きろ

全てを凌駕せんとし

生きていけ


世を阻んでも

自身だけは信じていけ

それが生きる糧となる


生きる道となる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る