第4話 振り向けば変態!?(イリア視点)【二】
副題【SとMは紙一重】
私はそのツノを見て何故かは分かりませんが懐かしさを覚えたのでした……
そしてカブ先輩はそのまま
ゴブリンキングを倒されたカブ先輩は私の方を向いてこう仰られました。
「大丈夫か、ターキー、相変わらず無茶をするな。さあ、エネルギーを充填してやろう!」
その言葉は私の心の臓の奥底を貫きました!
へたり込んでいる私の目の前には指のスキマから見える凶暴な逸物。そして、その言葉。私は性癖としてはSだと自覚しておりましたが、ひょっとしてMなのかと疑いを持ったほどです。
私がそう心の中で動揺している時に、カブ先輩はあろうことか、ボッチしか隠れていない私のC級の胸をムンズと掴まれ、モミモミし始めるではありませんか!?
気持ち良い! ではありませんわっ!!
花も恥じらう乙女の胸を断りもなくムンズと掴まれモミモミされるなんて! ましてや全裸で!?
そう、モミモミしながらカブ先輩の頭にあったツノが無くなり、元のカブ先輩へと戻られたのですが、そのお顔にはオドオド、卑屈がなくなってしまってました。
けれども私は気がついておりました。
その強引な手が繊細で優しくモミモミしている事と、私の魔力が回復していってる事に。
気がついてはいたのですが、私は恥ずかしさからカブ先輩の頬を雷の魔力を纏わせた平手で叩いておりました。
「近寄るなーっ! こんのっ、変態っ!!」
この言葉と共に。
そして、カブ先輩はその一撃で気絶されたのです。
とてもゴブリンキングを圧倒的強さで倒された方とは思えません。
私も本気で叩いた訳では無いですのに……
いったいどういう事なのでしょうか?
気絶されていたのは一分ほど。
目覚められたカブ先輩はキョロキョロと辺りを見回され、そしてご自分の倒されたゴブリンキングを見てギョッとされました。
そして、先ほどのモミモミ羞恥心からまだ回復しておらず、プルプル震えている私を見つけられ、
「有難う、イリアちゃんが助けてくれたんだな」
と訳が分からない事をほざかれたのです。ご自分で倒しておきながらカブ先輩は何を仰ってるのでしょうか?
そして、また全裸のまま私に近づいて来たのです。思わず私はこう叫んでしまいました。
「イヤッ!! 近寄らないで! 変態!!」
私の言葉に頭を両手でおさえられたカブ先輩。ひょっとして今さらながら最初にゴブリンキングの攻撃を受けてダンジョンの壁に強打した事による頭痛が起こったのでしょうか? そう私が思い回復魔法を使おうとした時に、カブ先輩がこう言ったのです。
「おっ、思い出したっ!!」
やはり最初に壁に頭を強打された事を忘れておられたのですね。私はカブ先輩が頭を抱えて俯いてる隙に予備の服を魔術バッグから取り出してサッと着ました。
着替え終え、回復魔法をかけて差し上げようとカブ先輩を見ると青い顔をされて自動に脱げ、ちゃんと畳まれて地面に置かれている服の方へと歩いていかれる所でした。
ああ、もうあの凶暴な逸物が見えなくなってしまうと私の乙女心がチクリと痛みましたのはここだけの話にしておいて下さい。
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