第七話 「ぼよ~ん」って文字が浮かんでたとこ
その日の昼食のとき、
「りんちゃん、ついに小山内さんとLIME交換したんだねぇ」
紅葉がにやにやして言った。
「ど、どうしてわかったの?」
「そりゃ、スマホにスマホをかざしてたら、誰だってLIME交換してるってわかるよ」
「あっ、そっか……」
そんな簡単なことに気づかなかった自分が恥ずかしい。
「でも、それ見てなくてもわかったかも。りんちゃん、授業のあいだじゅう口元がゆるんでたもん」
「ほ、本当?」
「ホントホント。マンガだったらぼよ~んって文字が浮かんでたとこ」
「『ぽわ~ん』とかならともかく、『ぼよ~ん』は違うでしょ』
ツッコミながらも、倫子は別の種類の恥ずかしさに襲われた。
「りんちゃん、そんなに小山内さんのことが好きなら、いっそ付き合っちゃえば?」
「えっ……!?」
突然の爆弾発言に驚き、思わずまじまじと紅葉を見つめた。紅葉はあわててパタパタと手を振り、
「ごめんごめん、冗談だよ。りんちゃんがあんまり嬉しそうだったから、ちょっとからかってみたくなっただけ」
すまなそうに笑う。
「だよね……」
ほっとして笑い返しながらも、一抹の淋しさを覚えた。いちばん仲の良い友達である紅葉にも、自分の恋愛のことを話せないなんて――。
昼食が終わって紅葉と別れても、その淋しさは小さな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます