本音 アイス待ち
おまけです
※〔ASMR #2〕を補足する内容となっております。
─────本編スタート────
「全然帰ってこないわね……」
私は部屋で待っていた。
鼻歌混じりなのは単純にすることがないから。
五分ほど経っても、幼馴染は戻ってこないのだ。
おかしい、そう思いながらも待ってみる。
「もしかして本当に落としちゃった……?」
「いくらあいつでもそんなドジはしないか」
「…………いや、ありえるわね」
急いでいたとはいえ、転びそうになっていたのだから、普通にありえる。
「やっぱり一緒に行けば良かった」
本当は一緒に行って、一緒にリビングで食べる予定だった。
それなのに、あいつが「私がアイスをこぼす」なんて言うものだから言い返してしまった。
「あなたはアイスすら持ってこれないでしょ」って。
そのまま、取りに行かせてしまった。
「それに、一緒に行っていたら寂しく……って何言ってるの私!?」
一人でツッコんでしまった。
寂しくなんてない。
ただ、何してるのかなって、気になっているだけ。
気になる……。何してんだろ……
「少し様子を……あっ」
立ち上がり、様子を見に行こうとした。
ちょうどその時、思い出してしまった。
「おととい……」
一昨日は今日以上の猛暑だった。
一緒にアイスを食べよう、ということで、私たちはアイスを食べた。
冷蔵庫にあったアイスを食べ尽くした。
そう言うと私が食いしん坊みたいだが、一つずつ食べたらなくなってしまった。
「アイス、もう残ってなかったんだ……」
「おととい、一緒に食べたから……」
「必死に探してるのかな……」
アイスの残りがゼロだと知っているのは私だけ。
「悪いこと、しちゃったな……」
今も、私のためにアイスを探してくれている。
アイスがない、なんて思っていないかもしれない。
思っていたとしても、選択肢として排除して、探してくれているのではないか。
「ばか……」
「あいつのそういうところが……」
幼馴染の足音が聞こえてきて、我に返った。
タイミングが良いのか悪いのか分からない。
立ち上がっていると不自然だから、ベッドに座り直しドアが開くのを待った。
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