8.賢者の戦い(カンダリス・トロン)
「"
私が任されたのはあくまで神殿の守り。こいつらを深入りして追ってしまい罠に嵌るとは随分と勘が鈍ったな。
だが、今更後悔しても意味はない。報告はしてある、あとは神殿からの援軍を待つしかないか。
もっとも、"
「やるしかないか」
暗闇から続々と姿を現す集団、おそらく暗殺組織"
「賢者カンダリスだな?」
「ああ、お前は?」
「冥途の土産に教えてやろう。暗殺組織"
「そうか。なぜ私を狙う?」
「賢者を殺すのが俺たちの目的だからだ」
「賢者に恨みでもあるのか?」
「それはお前たち自身がよく分かっているはずだ」
エルラはそう言うと、私との距離を急激に詰める。
私は後方に飛び魔法を撃つ。
「残念だったな!遅すぎる!」
だが魔法は躱され、短剣による攻撃をくらってしまった。
右足に激痛が走るが、何とか体勢を保ち距離を取る。傷は浅い、この程度なら治せる。
「
「流石は賢者と言ったところか」
接近戦は不利、状況も包囲されているとなると、まずは離れるか。
「
足に魔力を込め風属性魔法の
包囲されている状況さえ改善できれば、やりようはある。
「逃がすか!」
案の定、私を迫ってくる。まあそう来るだろうと思っていた。
「
私は光属性魔法を放ち目くらましをする。暗い森の中だ、目の調子を取り戻すのに時間が掛かるだろう。
この隙に魔法を使わせてもらおう。こんなことに
「
「2人か、まだ多いな」
今のうちに少しでも仕留めておこうと、上級魔法の
「しつこい奴らだ」
私の速度に対応してきたようで、徐々に間合いが縮まる。
あまり時間をかけていてはジリ貧になるだけだ。援軍もすぐには来れないとなると、やはりここは……。
「
私を中心に半径100mほど巻き込んで巨大な炎柱が上がる。ほぼ予備動作なしの自動攻撃、攻撃自体は命中している。
これは、私が無詠唱で使える唯一の最上級魔法であり、今使える最大火力。正直、これでダメなら勝てる自信はない。
あとは、全員仕留め切れるかどうか。魔力もかなり消費した、二発目はない。
「はあ、はあ……なかなかやるじゃねぇか」
「1人残ったか」
炎柱の中から出てきたエルラはそう言うと、短剣を私に向かって投げてくる。
「
水流の刃で短剣を弾くが、猛スピードで距離を詰められる。
「躱せねぇよ!」
短剣を突き刺してくる攻撃を躱そうとするが、足が動かない。
初めに喰らった短剣に遅効性の毒があったか。毒は私の魔法では治せない。今からでは魔法による回避も防御も間に合わないだろう。
とすれば、即死を避けて魔法による相打ちか。
「俺の勝ちだ!」
エルラの短剣によって心臓を貫かれるが、関係ない。このまま攻撃魔法を――。
「この短剣は魔法が込められているんだ、これで確実に死ぬ」
その瞬間、私の体内から火が噴き出した。
「それくらい対策済みだ」
……あとは、ゼロ距離で魔法を放つだけ。
出来ることなら生き延びたかった。だが、私の心臓を確実に潰れている。この傷を回復するには上級魔法が必要になるが、私は使えない。
残念だが、この状態では、もう助からないだろう。
「悪いが……相打ちだ、
カノエッタ、カナカリスありがとう。いい人生だった――――。
巨大な爆発に飲み込まれ、意識は途切れる。
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