翼竜
「つまり、魚を獲っていたら、いつの間にか魚がいなくなっている事件が多発していると。」
「はい、一匹、二匹の話ならそいつらが馬鹿だったという事になりますが、もう百件程度着ています。」
「これを見ると全部水面で事件が起きているな。」
東西ともにこの事件が報告されている。
狙っていた旨そうな魚を何者かに横取りされるのはかなりのストレスとなって、不満と空腹が爆発した者たちが魚を多めに食べるようになっていた。
取られていない者も獲物を取られるのではないかと焦った結果、岩にぶつかったや獲物からの反撃によって怪我するという事件も続出していた。
早く原因を究明しないと東西の統治にも影響が出てしまうので、ノーアイだけじゃなくライやアーケロンも頭を抱えていた。
空から来ているのではないか?
「・・・空、それはライみたいな飛んできたわけじゃないのですね。」
あぁ、俺もまだ見たことがないから。知らんが、ヤヨイが言うには最近では空にも生物が進出しているそうだ。
「つまり、大陸からこっちに来ているという事ですか。確かに前時代にはライみたいな空から襲ってくるものが何匹か、いましたか、そのまま空を飛んでいるのはいませんでした。」
オーリスはヤヨイの話に空を飛ぶ生き物が生息している事を教えてもらっていた。
ヤヨイも小さい影でしか確認できていない上、殆どがディアスティアから聞いた話だそうだ。
この一億年でヤヨイとディアスティアも交流を深めて仲良くなっていた。
空の生物は何種類もいるそうだが、ここら辺はオーリスの圧が強い為、ヤヨイの視認距離より向こう側にしかいないらしい。
ヤヨイも見てみたいと死体でいいのでいつかとってきて下さいとお願いされていたことをオーリスは思い出していた。
ディアスティアは翼竜と言っていたらしい。ヒレや水かきを広げてデカくしたみたいのを背中に生えているらしい。・・・食ってみたい。
「ボス、少し食欲を抑えて下さい。新入り達が怯えています。」
まだ見ぬ餌を想像して涎を口に溢れさせて食欲を全開にしているオーリスの欲を感じて、ノーアイの手伝いをしている新入り達がびくびく怯えていました。
前世の知識にある翼竜とディアスティアの話に出てきた翼竜と近い事からディアスティアも自分と同じ知識持ちだと予想できた。
そんな事より翼竜をどうやって捕獲しようか悩んでいた。
どうやら、翼竜は圧や欲に敏感らしく、オーリスがまだ見ぬ餌を求めて北半球を横断している時は海から離れていたそうだ。
南半球でも同時期にオックートの進撃があったので、そこの翼竜も逃げていたそうだが、圧が比較的穏やかなオックートから逃げ遅れた鈍感な奴らを何匹か捕獲して食べたそうだ。
「それだとその翼竜達は何処にいたのですか?北半球の大陸も隈なくではなくても横断しましたが、誰もそんな珍妙な生き物を発見してません。」
空の上に浮いている島があるらしい。その島は何もない地だから、普段はちょっとした休憩地でしかないが、今回は避難所として活用したそうだ。・・・・・・なーるほど、つまり、そこに行けば・・・
雲の上にある為、空を飛べる生物以外来れない場所という事もあって翼竜達のシェルターとして機能しているという話だ。
オーリスが何かひらめていたようで、ニョロニョロ外へ出て行った。
ノーアイはこれで事件も解決するなと、別の報告の方を優先することにした。
巨大生物の目撃・・・こちらも考えないといけないものだった。
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