恐竜
「これが新生物か?・・・サーマルクスみたいな爬虫類に分類出来そうだが、完全に地上に適応した種だな。」
「星の真ん中辺りにいたトカゲと呼ばれる種を更に進化させた感じがするな。」
「アーゲ達が言うにはこれらの種達が地上を支配しているらしい。・・・オックートの元に向かわせた組も南部の生態系も此方と似ているそうだ。」
ノーアイ達はアーゲ達が持ち帰ってきた死体を調べて色々と意見交換していた。
どうやら、オックート達が眠っていた南半球でも同じような種が生態系の頂点に立っているそうだ。
「海洋の方はどうだ?」
「あぁ、此方も変わらんな。海洋に適応した爬虫類が我が物顔で泳いでいるぞ。」
「デカい魚もいたな・・・食い応えありそうだった。」
「まぁ、ソイツらの天下もここまでだろう。・・・俺たちが目覚めた訳だし、それに此方にはオーリス様が、あっちにはオックートがいるんだ。」
皆の見解的に現代の支配者は爬虫類の進化系、恐竜と後に言われる種が闊歩しているが、その天下もあと僅かである事は確定事項という認識があった。
ただし、問題が一つあった。
「この死体は肉食だが・・・やっぱり然程美味しくないな。」
「者によっては好む物もいると思うが・・・臭みが強すぎるな。深海のものもたまに臭みが強い奴はいたが、我らはそれに慣れている臭いだったから。問題として上がっていなかったが、今回は地上の発見している肉食が殆どこれなら不味いな。」
不味い餌
それはこの群れにとって戦闘意欲を削ぐ理由として最大の理由となるものだった。
特に若者は好みが激しく、シャークのように食わず嫌いを発現するものは多いと予想された。
古参勢からしてもこの臭いは一億年の月日で新しく生まれた成分からなる臭いの為、未知の臭いは思っていたより食いにくいものとなっていた。
特にオーリスは大抵のものは美味しく食べるが、それでも選り好みはあるのである。
「これは私達も進化する必要があるな・・・」
「進化ですか?」
「あぁ、今の私達は生か、焼く、潰すしか調理法がない状況だ。だが、触手を扱う種を持つオックートの派閥では色々と調理法が生まれてきているらしい。」
これは一億年前からの問題だった。
自分達の体格などでは調理法に限りがあるのは目に見えていた。
そこで考えていたのが、ヤヨイのような手足を持っている種に進化や形態変化する術を手に入れるというものだった。
オックート達の様な触手型を選ばない理由として、そこに行き着いてもただの二番煎じにしかならない為である。
「オーリス様が言うにはこの一億年でディアスティアから色々とアイデアをもらってあの手足で調理法を発見したそうだ。」
「あぁ、オーリス様から嗅いだことのない美味しい匂いがすると思ったら、あの植物から接待を受けていたのか・・・」
自分の長所を活かして、オーリスに取り入ろうとするのは良いが、それを見て何もしないのは違うだろうと思ったのである。
ヤヨイの評価を上げられ続けたら、今の自分達の立場が危ぶまれるのである。
権力にしがみつく様は新たな進化の形を示していた。
「まずはここら一帯を征服する。そして、ボスの存在を確認するのが何よりも最優先事項だ。」
ボスの座は候補者や後継者も皆含めて冬眠した為、空いた椅子にこの一億年で誰が座っているのか、その実力を確認する必要があった。
冬眠が一斉に解凍されたので、この周辺だけでは食料不足になりかけている為、早く領土を増やすのが急務であるのは南半球の連中も変わらないので、100年程は激動の年になるのは容易に予想できる事だった。
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