言語を無くした者達
「ギャアァァオォ!!!」
「うるさっ!」
「・・・・・・アーゲに似ているかな?」
「はぁ?!俺はあんな馬鹿っぽく鳴かねぇよ!!」
今、アーゲとシャークは周辺海域と陸上調査の任をノーアイから受けて来ていた。
オーリスに叩き起こされた皆は冬眠による空腹を満たす為に、暴食の限りを尽くした為、僅かに生きていた周辺海域の生物を絶滅させてしまった。
新しくなった世界と生き物を探る為、生活環境を整える組と調査組と最南と連絡を取る組に別れた。
アーゲとシャークは若手の中でも高い戦闘能力を持っている為、調査組に振り分けられた。
食欲に夢中で気が付かなかったが、海域も陸上もこの一億年で地殻変動や天変地異などによって地形が色々昔と変わっていた。
海域には生き物の姿自体が少なく、オーリスの影響がまだ深く残っている事をものながっていた。
なので、広大かつ死角の多い海域は索敵能力の高い者達に任せて、先に陸の調査をする事にしたのである。
陸上出来るフォルムを獲得しているハイシャークであるシャークも問題なく、アーゲと陸に上がる事ができた。
陸に上がって試しに自分の身体を傷つけて血を流す事によって血の匂いで肉食動物を誘い込む事にしたが、やってみて二人は思った。
「なぁ、血と一緒に俺たちの臭いが混ざっていたら相手警戒しないか?と思ったが・・・・・・」
「そんな知能も無さそう・・・多分、これがこの島の頂点捕食者。」
嗅いだ事のない謎の匂いがしたら、少しは警戒して様子を見てから出てくると思ったが、この二足歩行の生物は何も警戒をせずに木々を薙ぎ払って出てきた。
知能が低そうと同時に5メートル越えの体格と鋭い牙と爪、此方を餌としか見ていない目からこのバカがこの島の頂点だと予想した。
身体の皮膚はアーゲの鱗が進化したような形状をしていた事から、シャークはアーゲに似ていると思ったのである。
「それにしても俺たちの別種がこうなったのか?鳴き声して威嚇しかしない上に何が言いたいのか読みにくいぞ。」
「そうだね・・・知能が低いからと思っていたけど、そう言う言語器官を失っている。あのキモい爺さんの予定通りの進化をしたみたいだな。」
「全部がそう進化したとは思えないがな。・・・・・・てか、キモい爺さんってオックートの爺さんだとしても言い過ぎじゃないか?」
「あんな触手盛りだくさんのジジイなんてキモイ爺さんで十分。」
「ギャァァアオォォ!!」
「ウルサイ!!」
言葉を話さないどころか、空気すら読みにくいと感じたアーゲは声を聞いているだけで頭が痛くなると思った。
シャークはオックートが予定していた食べずらなくない餌の定義をしているこの捕食者を見て、オックートの予定通りに進んでいると不満げに見ていた。
今でも友好関係とは言えないが、それでもオーリスと世界の二強覇者として名を上げている者に対してキモイ爺さんはどうなんだ?と苦言を呈するアーゲに昔、瀕死の重体で動かない身体を触手で絡まされまくて弄ばれた事をいまだに恨んでいた。
いつか、絶対殺すと誓っていたのである。
そんな怒り状態のシャークに向かって、鳴き声で威圧しようとした捕食者を怒り任せに縦鋸で真っ二つにしたのである。
「おい、良いのか?もっと生態を調査する予定だっただろう。・・・瞬殺はあかんだろう。あ、意外とイケる。臭みは強いが、慣れれば癖になるな。」
「別にこれだけじゃないだから、大丈夫でしょう。・・・手応えは海綿みたいに脆かった。それと私はいらない。匂いからして美味しくなさそう・・・」
攻撃方法やスピード、戦闘知能など調査する項目は色々あったのに瞬殺したシャークに呆れながら、一番重要な肉の味を確かめたら、塩味が強く臭みが強いと美味い肉ではなかったが、食えない事はないと気にせず食べているアーゲに対して、こんな雑魚まだまだいると拗ねているシャークはこの生き物を切った感想を言いながらそんな臭い肉食べたくないと拒否した。
「あ?なんだ、お前らも食いたいのか?」
アーゲが黙々と食べていると、さっきと似たフォルムの小さい生物が群れで森から見ていた。
肉を見せながらお前達も食いたいのか?と聞くアーゲに何か鳴いているが、やっぱりよく分からないとアーゲは頭を抱えた。
「・・・何が言いたいのか、分からない。・・・・・・群れなら勝てると思っているなら・・・コロス。」
「おいおい、あまり殺気を出して調査対象を怖がらせるなよ。」
舐められていると感じたシャークは殺気をバカにも分かりやすいようにふんだんに溢れ出させて威嚇した。
ビビりまくった小型肉食生物達は森の奥へと消えていった。
アーゲが骨まで喰らい尽くすとシャークはこの肉は食いたくないが、自分もお腹が空いたと森の中にさっさと行こうと急かした。
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