恐竜世界

目覚め

 プルルル!プルルルル!


 うぅ〜ん、もう一億年か?・・・意外と早かったな。どれ・・・地上に上がるとするか・・・


 貴方は寝過ごさない為にオックートが設置した時限式目覚まし触手に叩き起こされて睡眠から目覚めました。

 元々、この冬眠はディアスティアの能力で凍らせたら、一億年後の自然解凍を待つ予定だったので、正確には一億年経ったら少しずつ目覚めるという解凍が不正確なものだった。

 そこにあなたが加わった事で的確な解凍が出来る様になったのです。

 貴方が深海奥深くから目覚めるとそこには緑豊かな大陸が目に入りました。


 一億年も経つとかなり品種も変わるな。・・・これは苦いな。・・・おぉ、これは甘い!目覚めたばかりだから、脳に糖分が染み渡る!


 貴方は地上を這いずり回って目的の場所まで移動する最中、目についた木の実など食べて空腹の腹を満たしていました。

 そうこうしているうちに目的の場所に着いた。


「おはようございます。オーリス様。無事目を覚ます事が出来て、私も嬉しく思います。」


 おはよう。ヤヨイ。この大陸の息吹を感じているとこの大陸を君に任せて正解だったと思えるよ。


「いえ、これもひとえにオーリス様が大陸の大地を適切な温度に温めてくれたお陰ございます。」


 貴方は眠る前に折角溶かした大陸をまた、凍らせるのは勿体無い気持ちになった。

 それにヤヨイの森を未来永劫庇護するという約束をしていたのが、反故にするのはどうなんだ?と思い、自分の大陸に移植したのである。

 緑が一つもない氷が溶けて栄養豊富になった大陸は前の森より圧倒的な豊かな森になるポテンシャルがあると感じたヤヨイもこの誘いに乗りました。


 何より凍らされているオーリス達を見守っておく存在が必要であり、オックート達が眠る最南の地は元からディアスティアの縄張りである上、他に誰も住んでいない地だったら為、そのままディアスティアが見守る事ができたが、正反対の地で眠るオーリス達をどうするかと言う問題もヤヨイによって解決した。


「この森は私の意思が全て宿っているので、オーリス様に喜んでもらえるように様々な果物、野菜が揃っています。」


 因みにこの大陸に動物は住んでいない。

 常に大陸を温めていないとすぐに氷結してしまう程に寒冷地である為、オーリスが眠りながら溶岩の熱を満遍なく大陸に伝わらせていたのだ。

 その強大な力がこの周辺の海域でも感じれる程の威圧感がある為、どんな生き物もこの大陸には近寄らないようになっていた。


「おや、早速、皆様を起こされるのですか?」


 あぁ、俺としては後何百年かゆっくりしてからでも良いんだが、オックートの爺さんは時間にうるさいからな。・・・怒られるなんて面倒だ。


 ヤヨイとしてはこのまま静かにオーリスと大陸で過ごした後、他の者達を起こしても良いのではないのかと思っているが、オーリスの意向に背ける訳もなく、自身の身体をよじ登るオーリスを見守っていた。


 かなり大きくなっているな。


 「大変豊かな土地ですので、成長も早くなりました。」


 弥生の本体である大木は今では優に3000メートルを超えて4000メートルに達しそうになっていた。

 一億年という歳月を改めて実感した貴方はその頂上から見る日の出を堪能した後、大きく息を吸って火球を上空へ撃ち放った。


 覚星かくせい


 「綺麗な星ですね。心の底から力と暑さが溢れてきます。」


 それはもう一つの恒星と見間違えるほどの光とエネルギーを発していた。

 そのエネルギーは星全体をの飲み込んで、全ての生命に力と熱を帯させたのである。


 さぁ!目覚めろ!我が同胞よ!!


 大気が、大地が、海底が、揺れ動き、世界全体が振動する程のエネルギーとなって皆が飛び起きたのでした。


 おはよう。さぁ、朝食にしよう。

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