狂気に堕ちたサメ

「アハ!アヒっ!アハアハアハアハアハアハハハハハ!!!!!イケル!コロセル!」


「シャークの奴、相変わらずテンションたけぇな。」


「俺たちの中でも特にテンションが高くなるからな。」


「あれは可笑しくなるだろう・・・グフフフ!!」


 ハイシャーク

 その種の特徴は血を嗅ぐ事によって脳内にアルコールのような酔っ払う快楽物質が個体差はあれど分泌される。

 それにより常にテンションが可笑しく、笑いながら敵を喰らい貪るさまは正に食欲の悪魔である。

 死すら恐れないハイシャーク達のことを海の特攻隊とオーリスは呼んでいた。


「クッ!なんでお前達がこんな強いんだよ!!」


「ヒヒヒ!ヒャッハーーーー!!搾取されていた昔の俺たちとは何もかも違うんだよ!!雑魚がっ!」


「ガハッ!う、嘘だろう・・・この俺様が・・・・・・こんな雑魚・・・に・・・」


「フンッ!雑魚はテメェらだ!イジメられ、殺されて虐げられた頃とは違うんだよ。立場も、力も・・・な。」


 プリコペは昔のいじめっ子にあったが、そこには怒りや恨みは一切なかった。

 あの頃は誰も彼もがハイシャークを虐げきたが、今は此方が捕食者になった事を誰よりもプリコペを実感してました。

 あっさり食えすぎて相手が退化したんじゃないのか?と疑問に思うほどだった。


「・・・あっ!おい!シャーク!奥に行き過ぎだ!!」


「アハハ!!ザコ!ザーーコ!!ゼンブシネ!ワタシヲサゲスミコロスヤツハ!スベテコロス!!」


「構うな!アイツは単独にしとくのが一番だ。そのまま相手に突撃させとけ。勝手に長やボスを殺しているだろう。」


 シャークは平常時の臆病っぷりがハイシャークの中でも特に凄い為か、その反動からか血によるテンションが誰よりも高くなり、自分でも制御出来ず、よく敵に突撃しては全てを滅ぼして戦果を上げてきた。

 ボスの存在すら確認されているこの戦場で単独突撃はハイシャークでも危険で脳の中にリミッターをかけている中、リミッターなどかけずに常にテンションを上昇させているのはシャークとプリコペくらいである。


「あのライさんが相討ちに持ち込まれて、生死不明の状況だ。此処に来ているボスも一筋縄ではいかないだろう・・・まぁ、勝つのは俺たちだがなっ!!ハッハーー!!」


「「「ヒャッハーーーーー!!!」」」


 テンション高いまま防衛ラインでハイシャークが暴れ回っているお陰で他の種は他の戦場に配置出来ている為、相対的に他の戦場は楽になっていた。


「アッ?!クエナカッタ・・・・・・ダレ?アンタ?」


「ハイシャーク・・・昔の弱者が今では強者か、時の移り変わりは早いものだ・・・」


「オーイ!シツモンニコタエヤガレ!!」


「名を聞くならお前も名乗れ。常識だろう・・・まぁ良い。ワシの名はオックート。これが答えになるじゃろう。」


「多触のオックート・・・アハっ!ボスジャン!!コロシテヤルヨ!!!オジイチャン!」


 多触のオックート

 タコの中でも触手の数が100や200じゃきかない程の量を持っている事で有名である。

 西方の海でボスの座につき、ボスだけでいうとオーリスを含めても最高齢となっている。

 それだけ長生きしているだけあって生物の栄枯盛衰を見続けてきていた。地下で篭っていたオーリス達より圧倒的な経験を味わっていたのである。

 既に精神は植物と同等までに昇華した感情が隕石によって呼び起こさせてこの地に来ていた。


「悪いが、ワシが用があるのはお主らのボスじゃ、若者の戯れに付き合う時間も惜しいんじゃよ。」


「ハッ!ナラ!ジジイラシクカルクシンドケヨ!!!エタイノシレナイオマエナンカヲボスに近づけさせるわけないだろう・・・えっ?」


「おぉ、そうじゃった。その狂気的な力は抑えさせてもらったじゃよっ!」


「・・・だから何?!テンションが下がったからって戦場でオドオドしているほど私は馬鹿じゃない!」


「おぉ、そうかい。・・・すまなかったな。じゃあ、完膚なきまでに殺してやるよ。」

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