雷鳴鳴り響く
「大変だ!!!敵がアラス海域まで迫って来ています!!」
「落ち着け!!我々は此処の守りを任されているのだ!逃げるという選択肢は最初からない。覚悟を決めろよ!お前ら!!」
気合いを入れるのは水陸両々のレイケツサンショウウオの長、レイサンだった。
他の大陸にも面しているこのアラス海域は敵が陸海とはずやってくる為、スムーズに水陸を行き来出来るこの種が防衛を任されていた。
「来たぞ!皆の構え!!・・・撃てーーー!!!」
「は?こんなもの海の生物に効く・・・ひっ!」
「なんじゃごりゃ!!!」
「だっ!だれか?!!」
「お、おい!押すな!!割れる!!」
レイサンの合図でレイケツサンショウウオ達は侵攻してくる群れ達に対して邪力を変化させた水球をぶつけた。
海の中で水をぶつけた所で意味はないが、オーリスの部下がただの牽制の為にただの水を投げる訳がなかった。
水球の事を舐めて気にする事なく進もうとした魚達は気がついたら身体の所々が凍り出した事に気がつきました。
それは水球が当たった部分や掠った部分でした。
小型の魚なら一発、中型でも運が悪ければ一発、大型でも三発もあれば凍ってしまう冷気を持つ水球をレイケツサンショウウオ達は放っていたのでした。
それによって最前線に突っ込んできた者達をぶち壊して進んでしまった後ろの者達は凍ってしまった仲間の血肉を見て、青ざめていました。
一瞬にして混乱の渦を作り上げたレイサンの代で完成させた邪術、その名も冷静術。
相手を冷やし固めて静かな死体に変えてしまう術だった。
「おいおい。こんなもんでビビってないよなぁ!君達!!」
「貴様は
「あぁ?そう言うお前は冷血のレイサンだろう?有名だぜ、長レベルにしては強いってな。・・・俺の仲間や子供を何匹も殺したようだな・・・この世は弱肉強食、恨みはないが、弔いくらいはしないとな!!あの世で子供らに言っておけ!!お前らの母さんにやられたってな!!!」
「怯むな!!撃て!!!」
「だから、効くか!こんなもん!!」
亀王 アーケロン
ボスの中でも比較的最近ボスの座に座った者であるが、その力はシンプルに凶悪。
どんなものも弾いてしまう回転力にそのまま突っ込んでくる突進力、そして何より何者も傷を負わすことのできない甲羅の防御力が特徴だった。
邪力を使った攻撃も全身に身に纏っている邪力が防ぎ、更なる防御力も得ている。
正に難攻不落の移動要塞。
レイサン達の攻撃も弾いて敵陣一匹で攻めて来た。
「ぐはっ!」
「馬鹿な!」
「まずは一匹!!二匹!!どうした?お前らこの程度か?」
「そんな訳ないだろうー!!至近距離で食らえ!!冷鉄散弾!!」
回転したまま突っ込んできたアーケロンはレイケツサンショウウオ達の体から血肉を弾き飛ばして殺した。
それを見たアーケロンはこの程度かとガッカリしていたが、そんな油断したアーケロンの背後に回っていたレイサンが攻撃を繰り出した。
邪力のみでは有効打は狙えない為、オーリス鉄を使う事にしたのである。
オーリス鉄とはオーリスの体内で生成される鉄であり、邪力を帯びやすい性質を持っている事が長年の研究から発見された。
それを用いたレイサンの技。
冷鉄散弾は本来、冷静術を込めたオーリス鉄を噛み砕いて、邪力への防御の硬い群れに対して撃つものであり、一匹に対して撃つものではなかった。
しかし、単発では凍らせるには時間がかかると判断したレイサンはアーケロンの甲羅の上からゼロ距離で放った。
こんな近くではレイサンも一溜まりもなかったが、己の身を犠牲にしてでも此処で仕留める価値がアーケロンにはあった。
「残念だったな。」
「なにっ!ば、馬鹿な!!ぜ、ゼロ距離発射でも傷つかないどころか凍りすらしないのか?!!」
「この戦前の俺なら多少は傷つき、凍っていただろうが、今の俺の防御力は過去の俺の比じゃない。その傷じゃ、もう助からねぇよ。あばよ、お前は俺が食ってやる。」
「・・・・・・いや、我らの勝利だ。」
「あ?・・・チッ!」
「あら?虫ケラのごとくブチっと潰せたと思いましたのに随分と硬くなりましたのね。アーケロン。」
「ライ!テメェ!!」
レイサンがやっていたのは時間稼ぎだった。
ライまでアーケロン襲来を知らせに出して一分もあればライは此処まで一瞬にして飛んでくることは分かっていた。
だからこその足止め、少しでもアーケロンを動かさないようにしてライの奇襲を直撃させる為の布石だった。
最強と名高い古参の中でも最強最速のライの登場に敵味方とはず恐怖していた。
「さぁ、長年の付き合いですが、ご主人様に逆らうなら貴方との因縁も此処で蹴りをつけましょう。」
「望む所だ!!ライ!!!」
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