宣戦布告

「大変です!!ノーアイ様!!周辺海域と周辺大陸から総攻撃を受けています!!!」


「はぁぁぁぁぁ!!!!どうして?!私達はまだそこら辺とは戦闘していない!!攻撃を受ける理由はないはずだ!!!」


 部下からの緊急な報告を受けたノーアイは驚愕していた。

 周辺海域も、周辺大陸も最近統一したばかりな上、極地とは違い、好戦的かつ野心家も多い種が跋扈している為、他の海域と大陸に目を向ける余裕なんてない筈だった。

 だからこそ、攻めるのは激しい内乱が起きた瞬間だと考えていた。

 でも、現実は何故か心の中では憎しみ合い、出し抜こうと虎視眈々とボスの座を狙っているはずの長達が現ボスと一致団結してこの土地に攻めて来ているのでした。


「何故だ?・・・なぜ?今、攻めてくる?」


「失礼します!!」


「どうした?何かあったのか?!」


「はい!戦闘中に敵がある事を言っていたそうです!!『奴を出せ!!あれは世界の敵だ!!!お前達は何も分かっていない!!』だそうです。私達も何を言っているのかわからないのですが、これが私達に宣戦布告した理由だそうです。」


「奴?・・・世界の敵?・・・・・・私達が何を知らないと言っているのだ?・・・・・・・・・・・・・・・いや、まさか、でも、そんな訳がない。あの方の事を知っているのは私達のみ。あの方の力と危険性を知っている敵が生きているわけがない・・・・・・」


 ノーアイは部下からの報告で敵の結束理由と宣戦布告の訳の予想をしたが、そんな訳がないと断定した。

 この群れで世界の敵と危険視されるような存在は一人しかいない。

 オーリス。自分達のボスは他のボスより頭を何個も飛び抜けて強い上に危険であることはこの群れの長や古参レベルの者は理解している。

 でも、それは仲間の中ではである。

 敵側で理解した者は屈服して降伏するか、喰われるかの二択であり、オーリスを前にして逃亡出来た者なんて存在しているわけがなかった。


「いや、一匹だけいた。・・・だが、なぜ今更になって?あれが生きて力を上げている事は情報で知っていたが、それでもコチラに仕掛けてくる理由はない筈だ。」


「・・・・・・そんな奴がいるのですか?あのオーリス様ですよ。獲物を逃すとは思えません。」


「それがいたのだ。一千万年以上前、オーリス様が産まれたばかりの時に戦った強敵。老王スコーピオン。・・・奴はオーリス様の力を理解しているが、こんな全体をまとめられる指揮能力も、扇動能力もなかった筈だ。」


 老王スコーピオン

 昔にオーリスと戦闘して生き残った数たった一匹の強敵であり、今では中央海域の覇者として君臨しているボスだった。

 絶対的な強者の情報は情報伝達が未発達でも自然と真偽を問わず色々と入ってくるものである。

 この老王も入って来た情報の一つであり、ノーアイが密かに己で調べた存在だった。

 オーリスの本当の危険性を気づかれたら敵は敵味方関係なく、一致団結して攻めてくるのは目に見えていた。

 つまり、今の状況の事だった。


「だから、他のボスは私自身が索敵して探っていたのに、こんな事になるなんて・・・」


「今は嘆いていても仕方ありません。ここは・・・・・・」


「分かっている。直ちに長、そして古参メンバーを各地に配置、そして、オーリス様にも出撃を伝えてきてください。」


「!オーリス様にもですか?!ここは相手の理由がオーリス様と言う仮定でいくなら出来る限り存在を隠して此処には何も世界レベルの危険な方はいないと認識させる方が良いのでは?!」


「いや、あちらが老王だけの話で動いているなんて考えられない。それなら、全ての生物に分からせた方が良い。自分達が何と戦おうとしているのかを・・・・・・な。」



この世界初の世界大戦の始まりだった。

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