毒はスパイス
・・・このピリッと来る味がアクセントになって、この食材をより美味しくているな。
「分かりますか!オーリス様、そうなんですよ。これはこの味があってこその美味しさなんです!!それなのに、最近は毒を抜くのが主流となっていて・・・・・・残念です。」
貴方はいま、温暖な海に来ています。
最近は極高温か、極低温みたいな水温の場所でしか過ごしてこなかったから。この温かく心地よい温度が凄く懐かしかった。
この海域は最近、征服した土地であり、オーリスがヤヨイの森を侵略している間にノーアイ達主力がこの海を侵略していた。
情報伝達がまだ乏しいこの世界で同盟とかしても協力するまでに時間がかかるのです。
ヤヨイの森のクモ達もこの海の者達と同盟関係にあったが、その内容はどちらかが攻められたら、ノーアイ達の群れに攻めていくというものだった。
その結果、これまでは上手くいっていたが、状況はオーリスが目覚めた事によってそんな同盟は意味がないものとなりました。
瞬く間に増えていく蜘蛛たちの被害報告からノーアイ達主力が攻めて来たと素早く判断した者達が、これを機に攻め返そうとしたが、蜘蛛達を攻めて来たのはオーリスとアラネだけであり、ノーアイ達主力は海の者達が攻めてくるのを待って罠にかけて一気に潰したのでした。
今回、海の方で最も成果を上げたのがハイシャークのシャークでした。
なので、最近出来ていない長らしく活躍した部下に褒美を与えようとしましたが、シャークが怖がって怯えきっているので代わりにハイシャークの長であるプリコペが来ていたのでした。
「今回は申し訳ございません。シャークは群れの中でも特に平常時が臆病な性格でして、オーリス様の自然と出している圧だけで気圧されているらしいです。」
構わん、優秀な奴なのは分かっている。こんな些事で怒るほど、俺は短気じゃない。・・・そんな事よりこの海で採れたサンショウウオは毒々しい色をしているな。
「はい、その警告色の通り、凄まじい毒ですが、私たちには問題ないものでした。むしろ、美味いです。・・・それなのに、最近の子はやれ毒抜き、やれ毒なしって毒の旨みを分かっておらんのです。」
プリコペは一万年くらい生きている個体であり、元は此処よりさらに南の熱帯の海に住んでいた種でした。
そこの生存競争に負けた個体と群れだったハイシャーク達は新天地を求めて、ギリ氷に覆われていない冷たい海に追いやられていました。
そんな他者を怯える日々を繰り返していた時、此処より更に北部で地底が大爆発してそれに呼応する様に周辺の海底も、地上も火山が大噴火して覆われていた氷を溶かしたのでした。
それにより更に北の海へ行く事ができたプリコペの群れは暫くしてノーアイ達と会う事になりました。
その時のノーアイ達の力に心が屈服したプリコペ達は一瞬にして服従して、鉄砲玉のように常に最前線で戦うことを強いられたが、此処である変化がハイシャーク達に起きました。
それによってノーアイ達の群れの中でも最も活躍する群れと地位を瞬く間に向上する事に成功したのでした。
そんな恵まれた環境で育つ事が出来た若者のハイシャークは食べ物の選り好みをするようになりました。
プリコペからしたら毒こそが食材の味を引き上げる最高のスパイスだと確信していたが、ハイシャーク内でも話の分かるものが少ないため、種族関係なく毒を愛し、毒こそが至高だと思う同士を集めた毒協会を設立したのでした。
今は変わり者集団という地位の協会だが、この群れのボスであるオーリスが入ったとなればどこよりも強大な協会に向上すると考えたのでした。
シャークがオーリスへの謁見を断った時は血の気を引いたプリコペだが、これを機にオーリスに取り入ろうとしていました。
オーリスとしては毒は昔から好きなので入っても良いと思っているが、ノーアイから何処かの群れや協会に極端な肩入れする事は禁止されていました。
残念に思いながらこの楽しい毒会をたまに開催するくらいは良いかと今を楽しむのでした。
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