世界は美味いものが多すぎる!!

 ・・・それにしてもこの千年でこんなにも食が豊かになったのか・・・・・・マグマや魚介類とは違う美味さが陸にはあるな。


 貴方はノーアイ達が用意した食事を完食した後、一人でゴロゴロと広い部屋で慣れてきた身体を動かしていました。

 この部屋はセーフティフィッシュの一種だとノーアイから教えてもらっていました。


 セーフティフィッシュとはデンやコシコ達の子孫の種であり、そこから分化と進化を繰り返して身体の中に生物を住まわせる能力に特化した種である。

 進化前はオーリスの巨体を住まわされるほどの種も個体もいなかったので、中身を見た事がありませんでした。

 だから、この部屋が何処なのか分からない上、そもそもオーリスの記憶にはセーフティフィッシュの体内は光源がなく、暗い空間となっていると聞いていましたが、この千年で地上の光を体内に保管して内部を明るくする能力を得ていたのです。


 ノーアイ達が運んできた食糧は誰も美味しく、自分好みなものばかりでしたが、それはつまり自分好みではないものは除外されるという事でした。

 貴方はこの千年で味わえなかった食べ物を考えて少し憂鬱になってしまいました。


「ご主人様!!目覚めたのですね!!!不肖!ライ!!狩猟及び縄張り拡大に戻って来ました!!」


 もの凄い勢いで部屋に入って来たのは、自分と同じようにデカくなってから小さくなった武将魚のライだった。

 3メートルくらいになったライは既に魚類というより爬虫類よりの姿に変わっていました。

 マグマにも溶けない圧倒的な耐熱性を誇っている鱗は更に強靭な防御性能を持っている事が伺えました。

 そして、何より変わっているのはヒレでした。ヒレは陸でも活動と狩猟を可能にするように脚へと進化しいました。

 元々、水中の活動は邪力の噴射に頼っていたので、ヒレは海底での行動を想定した作りに変わっていました。

 それが陸上に進出した事によって更にヒレが脚になる進化が促されたのでした。


「あぁ!!なんと素晴らしい!!そしてなんと!恐ろしい姿なのでしょう!!!小さくなったそのお姿とは思えない圧倒的な存在感に!威圧感!!このわたくしでも押し潰されそうですーー!!いえ!!いっそ!押し潰してください!!!!」


 ・・・・・・相変わらずだね。ライ。元気な君を見ていると俺も元気になるが、やっぱりキモいね。・・・ほら、褒美だよ。


 ダイナミック入室をしてからずっと床に全身を平伏させて低姿勢を維持しているライはオーリスに会えた事を物凄く喜び、そして、オーリスを除いた群れの中でNo. 1の実力者であるからこそ誰よりも進化したオーリスの力を正確に感じていました

 その力の深淵を自然と覗いてしまったライは自分の心が、魂が、オーリスに蝕まれることをも喜びと快感に変えて更なる忠誠を密かに誓っていました。


 ドM全開のキモい発言をする昔から変わらないライを見て、和みながら、いつも通り成果を出しただろうライに、より強くなった尾でバシバシッ!と全身を叩き込みました。

 アーゲの腹を斬り込んだくらいの力で叩いたのにライの肉体は目立った傷はなく、それが何よりもこの千年を更なる研鑽に注いていた事を証明していました。


「アアアァァァァォァァァ!!!!!!ありがとうございます!!!!!!最高です!!!ご主人様!!!」


 ライが仲間になってからずっとこの褒美の仕方を本人が望んでいる為、続けている貴方でしたが、未だにこれの何が良いのか?よく分かっていませんでした。

 そんな不思議な空間が昼飯を届けに来たノーアイたちが来るまで続いていました。


 因みにライは群れの若者から武人として慕われている上、雌雄問わず、恋慕する者も最近ではチラホラ出てきている人気者のこんな痴態を見せる訳にいかないので、ノーアイはライがオーリスの元へ向かったと知らせを受けてオーリスの住まいに若者が近づかないように手配してました。

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