外界

 ・・・美味い!今までの進化の卵で1番の美味さだ!中身の液も濃厚でトロッとしているが、喉越しが良い!殻もガリガリとした歯ごたえの良い食感に今までに食べた栄養素がふんだんに詰まっているような旨みが溢れてきて最高!!


 貴方は目覚めて最初にした行為は進化時に起きる卵の美味さを噛み締めて食べる事でした。

 今までに味わったことのない卵の味に感動しながら、あの試練の源を食べて良かったと実感していました。

 そして、何よりその量だった。

 今までは卵の中身の半分は自分の肉体だった為、食べる量は卵の大きさからしたら少なめでした。

 それが今回の卵はあまりにも巨大でした。

 およそ100倍の大きさの卵は食い応え抜群の量と美味しさを兼ね備えた進化後の空腹の胃袋を満たすのに丁度良い食べ物です。


「っ!!おおおおお!!!ボス!!!!!!!誕生されたのですね!!!!!」


 ・・・・・・ノーアイか、なんだ?そんなに喜んで進化など珍しくないだろう。・・・・・・いや、あれからどれだけ経った?


 ノーアイが涙を滝のように流して喜んでいることに不思議に思った貴方は不思議に思いながら卵の殻を齧っていましたが、少し考えてみたら自分の記憶より少し強くなっているノーアイを見て、自分がどれくらい眠っていたのか聞くことにしました。


「千年程でございます!!あまりにも長く、古参からしたら短い時間でしたが、ボスの群れから離れた種もチラホラ出てきた所でした。・・・そんな事より、お腹は空いていませんか?あれから私達はボスがいつ目覚めていいように世界中から食料を集めようと勢力図を伸ばしています!!氷が溶けて地上に侵略出来るようになって地上の美味な食料もあります!!!」


 それは・・・世話をかけたな。ありがとう、・・・・・・あぁ、ちょうどこの卵を食べ終えた所だ。追加で食糧を頼む。


「っ!・・・お変わりないようで良かったです。はっ!直ちに準備させます!!!」


 ノーアイが涙を一瞬拭いた瞬間、さっきまで半分以上は残っていた卵が一欠片もなくなっていました。

 オーリスの腹からバキボキバキボキと言う何か硬いものが圧縮される音が響いている事に気がついたノーアイは相変わらずの大食漢っぷりと優しさに懐かしさと嬉しさが込み上げてきてまた目から涙が溢れてきましたが、これ以上オーリスを待たせる訳にはいかないと言う使命感から速やかにから出ていきました。


 ・・・・・・・・・そういえば此処は何処だ?水中ではあるが・・・水圧があまりないな。表層なのか?千年経ったと言うし、住処もより良い場所に変えるか。


 住処にこだわりのない貴方の事を知っている群れの連中が自分が氷河期を終わらせてから住処をより良い餌のある場所へと移ったとしてもおかしくないなと思いました。

 それにしても今まで忘れていた水圧の無さに驚いていましたが、身体は軽く感じて、今の身体をよく見ることにしました。


 30〜ってところか。通りで卵が巨大に感じていたわけだ。・・・身体が縮んでる。・・・・・・ふんっ!伸ばせる範囲は前の大きさくらいか・・・・・・いや、本調子なら更に倍はいけるな。・・・うん、面白い。


 貴方の身体は30センチと進化前の100分の1に縮んでいましたが、肉体の密度が更に上がり頑丈になっていました。

 その上、伸縮性が爆上がりした肉体は今は30メートルまで上げれる事を尾から先を伸ばす事で確認できました。

 ただし、この伸縮量は今の空腹時での話であり、肉体が満たされたら更に距離は倍は余裕だと確信しました。

 この新しくなった肉体を扱う事が楽しくなった貴方はノーアイが他の部下を連れて食事を運んでくるまで色々と遊んで暇を潰していました。


 

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