一千万年後の世界
なんだ?これ?
あれから10000000年、様々なことがあった。
適応出来ない部下は後世に託して、寿命を定命にする代わりに繁殖力を得た。
今では種として分化してこの劣悪な環境からマシな劣悪な環境へ去った種、閉鎖的な環境から外界に憧れてこの地を去った子もいた。
この海域は予想以上に極地に存在していたのか、更にこの地を寒冷にする存在がいたのか、この火山がある最下層以外は全て氷に閉ざされた世界になったのは今から百万年前と最近の事である。
外界に出た種はもう絶滅しただろう。
悲しいことだが、自然の摂理である。
私の名前はノーアイ。
え?話し方が違うって、そりゃあ、万年と時間が経てば言葉遣いも変わりますよ。
この地に適応と進化を続けた私達は今、この星の歴史を変える瞬間に立ち合おうとしていました。
「ノーアイ。オーリス様は大丈夫なのか?」
「ボスを疑うなんて、貴方らしくないですよ。・・・チアイ。あの方がもう可能と言ったのですから。たとえ全世界の生物が束となっても不可能な事でも可能なのですよ。」
進化し続けたオーリスの部下達は言語と発声器官を得ることで新たなコミュニケーション手段を獲得していました。
大半は身振り手振りで理解出来ますが、より詳しく話し合いたい時は発声を使ってコミュニケーションを取るようになりました。
一千万年経った今では、この二匹の元となったこの地のメナシウナギは絶滅し、分化した種もまた、この寒冷化に適応出来ずに絶滅した為、少なくともオーリスの群れ以外で現存を確認する事は出来ませんでした。
「これは・・・予感ですが、多分、ボスの目標が達成した時、この星の寒冷化は終了を迎え、新たな世界の誕生になる。そんな予感がするんです。」
群れの皆が火山を見つめオーリスの成功を祈りながら、新たな支配者の誕生を祝う宴の準備をせっせとやっていました。
それがオーリスが出発する前に言った命令であり、言葉だったからです。
此処が火山の中心部・・・・・・この丸い光が・・・この美味い匂いの正体か?!!
貴方の肉体はこの一千万年で火山の超高温のマグマに完全に適応して、マグマの中でも海水と変わらない感覚で泳ぐ事を可能にしていました。
その身体は昔いた部下であるコシコの体長を優に超える30メートル以上の胴と尾を持ち、その姿は前世の太刀を思わせるほど淡く綺麗な肉体をしていました。
火山にダイブした貴方はこの最下層に最初に来た時に感じた圧倒的な美味さの匂いを頼りにより強くなっていく方へ進んで行きました。
辿り着いたのは火山の中心部、最も熱く、外のマグマが氷水に思えるほどの圧倒的な熱さと圧迫感を感じてました。
そこにあったのは恒星のように眩い光を放つ謎の物体でした。
直径1メートルほどありそうな完全な真球の形をしたその物体は美味さの権化の様な香りと味を放っていました。
がぶっ!・・・・・・・ウメェエエエエエエエ!!!!!!!
貴方の美味さの叫びは火山全体を震わせて、それは圧倒的な爆発となり岩盤を突き破り、10500メートルの深海を突き破り、天空へと到達しました。
その膨大な熱量はこの極地を侵食している氷を瞬く間に溶かし、封印された栄養と環境は新たな生命の進化となってこの星の生命の息吹を吹き出していました。
「相変わらずの食欲ですね。」
「あぁ、マグマすらあの方にとっては餌でしかないようだ。」
オーリスの部下名前には氷を突き破る噴火に混じり、マグマと氷に貪り食べているオーリスの姿がそこにありました。
そんな心配なんていらなかった元気なオーリスを見て、最高の料理で出迎えないとこっちが食われると呆れながら宴を準備を急ぐ姿がありました。
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