更なる闇の中へ
貴方は自分が強くなったことをあの闘いから実感していました。
ライ(あの後、武将魚に名付けた名前)は貴方が今まで戦った敵の中で基本スペックだけなら一番の強者でした。
そんな強者を真正面から打ち倒した事で貴方の中に自信と慢心が生まれ始めている事に気が付きました。
この自信と慢心は更なる高みへの足枷にするか、土台にするかは今後の自分の行い次第であり、ライの上でとぐろをまいて座っている今も今後のビジョンを考えていました。
オマエラ!!これより俺たちは更なる深海へ潜っていく。索敵班は常に八方向に展開して死角をカバーしろ。食糧・運搬班はそれぞれの班に定時的に配給して、全員のパフォーマンスを維持に努めろ。戦闘班はいつでも戦闘出来るように臨戦態勢を交代しながら待機しておけ。
今日も生き残るぞ!!!
貴方の掛け声と共に群れは更なる深海に向かって谷底へ出発した。
貴方は外敵へ即座に対応できるようにライと一緒に真ん中に陣取り、ライの上に乗りながら移動していました。
何故ライの上に乗りっぱなしなのかというとライはオーリスに乗ってもらうのが途轍もなく好きなのである。
今まで誰にも傷つけられず、同じ種族にも会ったことの無い(他の小さくか弱い兜魚を同族とは思っていないし、遺伝子的にも実は近くない。)ライは孤独に過ごして来た。
そんな中、オーリスに出逢った事で傷の痛みも、仲間の暖かさも、圧倒的な己の全てを征服される快感も、干からびた心を満たしてくれて、全てを与えてくれたオーリスに絶対的な忠誠と信仰にも似た好意を寄せていた。
・・・血の匂いが濃くなっているな。凄く、美味そうだ。
最も深い底から溢れて来た血の匂いは今までに嗅いだどの戦場でもここまでの濃く煮詰めた匂いはなかった。
そんな血に混ざって肉と脂の匂いが貴方の食欲を促進させて深海への欲望が増進していきました。
周りの仲間はその食欲が自分達に向けられないかと心配してしまうほど、今までにないくらいオーリスの食欲が爆発している事に震えていました。
索敵班は何か真新しい餌はないかと探しながら警戒してました。
食べ慣れた餌では今のオーリスは満足しないことを長年の部下達は理解し、珍しい種の仲間は誰よりも真剣に餌を仕事と移動しながら探していました。
うん?あれは・・・・・・
100メートルほど潜ったくらいで見たことのある形状の生物を発見しました。
それはデンに似た殻に触手が生えている姿をした生物でした。本来なら長年の夢だった同族との再開に涙も浮かべそうなデンだったが、今は発見次第、触手を極限まで伸ばしてその同族らしきものを掴むと殻ごと粉砕して柔らかい身を食欲全開の貴方に献上しました。
おまえが仕留めたんだ。俺に気を使う必要はない。お前が食え。・・・それに既に何体か仕留めた。
これで珍しい食べたことない枠から外れると嬉々と同族らしき生物を献上したデンだったが、あなたはそれを拒否しました。
いくらお腹が空いていても部下から食糧を奪い取るほど食欲に支配された訳ではないのです。
デンからしたら、そんな事はいいから。食べてください。おれ、あまり空腹じゃない。でしたが、そんなデンの心配を他所にオーリスはデンの触手によって出来た死角から数発弾を打ち出して殻に穴を開けました。
どうやら、殻に穴が開くと呼吸困難になって窒息して弱るらしく、オーリスの群れから攻撃されていると気がついた頃には素早いオーリスの部下に囲まれて死しかない状況に陥ってしまっていました。
・・・・・・ほう、これは美味い。少し臭みがあるが、それも独特な風味に変えてしまう奇妙な味は上では味わえない美味さだな。
アムカイと名付けたこの生物はライや自分達とは違い、深海に元から住んでいる生物らしく、その味は今までに食べたことのない美味さと栄養素を感じて、群れの中での批評は賛否両論で終わった。
貴方ほどではないにしても食欲振りの欲望を持つ部下達もこの深海の未知の食糧に心踊らせ始めていました。
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